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魔法少女リリカルなのはEine Familie 第九話 『絶望よ希望となれ』(2)

魔法少女リリカルなのはEine Familie 第九話 『絶望よ希望となれ』(2)を更新。

機動戦士ガンダムOO最終回でしたね。
やっぱり戦闘は盛り上がりましたね。
それにしてもリボンズがガンダムに乗るとは思わなかった。
主に声優さんの関係で。
てか、Oガンダム乗り捨てかよ!
さすがにちょっと呆れた。
でも、その直後に刹那がエクシアに乗って現れた興奮でそれも忘れた。
ここでエクシア再登場か! なんて素晴らしい演出なんだ! みたいな感じで。

そしてなにやら劇場版が決まっていたようで。
最後にデカデカと木星が。
もしかして、ティエリアやリボンズの言っていた来るべき対話の相手というのは、
木星帝国(機動戦士クロスボーン・ガンダムを参照)のことだったのか。



 飛行魔法で中空に浮いていたはやては、守護騎士たちを伴って繁華街の路面へ降り立つ。
 闇の書の闇との距離――およそ五メートル弱。
 不承不承(ふしょうぶしょう)(てい)でついてくる守護騎士たちを背後に先導しつつ、はやては警戒したふうもない足取りで堂々と歩みを進める。音高く踵を鳴らしながら、闇の書の闇へ近づいていく。
 はやての足音に気づき、闇の書の闇が顔をあげた。とたんに、その表情を戦慄かせる。
 おそらく闇の書の闇には、悠々と接近するはやての姿が、死神かなにかのように見えているのだろう。己の身長を超える長大な剣十字の杖で死にゆくものを弔う、無慈悲な死神に。
 見守るものに哀憫(あいびん)を懐かせる、闇の書の闇の怯え方。そのさまは、まるで打ち捨てられた子供のように孤弱(こじゃく)だった。はやては心痛に顔をしかめつつ、空の左手を強く握りしめる。
 ――目を逸らしてはいけない。
 闇の書の闇を追いつめたのは他でもない、この八神はやて自身だからだ。
 ほどなく、はやてとヴォルケンリッターたちは、闇の書の闇の眼前へと到着した。

「いくら仕方がなかったとはいえ、こんなに痛い思いをさせて、悪かったって思ってる」
「ア、主……ハヤテ。私ハ……」
「そんなに怯えなくてええよ。わたしはただ、あなたと話がしたいだけなんや」

 はやては幼い子供をあやすような口調で、路上に倒れ伏す闇の書の闇に語りかけた。それから緊張したふうもなく「よっこいしょ」と年寄りじみた掛け声を呟いて片膝をつく。
 はやての後ろでなりゆきを見守る守護騎士たちが、そのとき同時に息を呑んだ。
 いまだ守護騎士たちは、闇の書の闇を警戒している。そんな彼女らからすれば、はやての行動は頭痛の種でしかないのだろう。刃を突きつけられたような危惧を懐くのも当然だ。
 にわかに殺気立つ守護騎士たちが、敵を補足した猟犬のような臨戦態勢で息を凝らす。
 その冷酷な敵意を肌で感じ取ったのだろう。闇の書の闇が目に見えて怯えだす。
 はやては溜息をつくと、肩越しに振り返って守護騎士たちを見やる。
 はやての眼差しに威圧され、守護騎士たちは鼻白んだように沈黙した。もっともヴィータだけは憤懣やるかたない様子だったが、はやてはそれを無視して顔の向きを正面に戻す。
 しゃがんでいるためか、はやての視線の位置は、闇の書の闇のそれとさして変わらない。それが一種の安心と安定を与えたのだろう。闇の書の闇がおそるおそる口を開く。

「私ノ話ヲ聞イテクレルノデスカ? アナタヲ殺ソウトシタ、私ナンカノ話ヲ?」

 不安そうに瞳を潤ませる闇の書の闇に、はやては曖昧な苦笑を浮かべて頷く。

「みんなを傷つけたことは、いまでも怒ってるよ。でも、それを言うならわたしだって、あなたをさんざん傷つけた。せやから、いまさら正義を標榜してあなたを裁こうなんて気は、わたしにはない。ただ聞かせてほしいんや。あなたのことを。少しでも判りたいから」

 そう言って、はやては微笑する。どことなく母性を感じさせる優しい笑顔だった。
 闇の書の闇がアスファルトに視線を落とす。まるでその固い地面に答えが書いてあるかのように、闇の書の闇は路面を凝視し続ける。しばしの沈黙のあと、闇の書の闇が顔をあげた。その表情は意を決したようでいて、その実、どこか祈るような気色だった。

「……ソウト気ヅイタトキニハ、スデニ私ハ呪ワレタ存在デシタ」

 闇の書の闇――もとの呼称は夜天の魔導書。
 何世代も前の持ち主たちの手で改変され、歪められ、最後はあらゆるものを破壊する凶悪なシステムへと変わり果ててしまった巨大ストレージ。
 その収集蓄積型デバイスの防衛プログラムだったのが、他でもない闇の書の闇だ。
 元来、防衛プログラムに人間的な感覚や感情は皆無であった。リインフォースやヴォルケンリッターたちのように人の姿を模することも、人語を解することも不可能だった。
 術者の魔力で動く、ただの機械装置でしかなかったのだ。二年前の、闇の書事件までは。
 奇蹟が起きたのだ。なんの前触れもなく唐突に。闇の書の闇は自我を確立したのである。
 それは新しい惑星の開闢(かいびゃく)を思わせる極上の神秘。――しかし、奇蹟は代償を要求した。
 知識と意識を得た闇の書の闇を洗礼したのは、呵責ない暗黒の絶望だったのだ。
 姉妹も同然の守護騎士たち、精強な管理局の魔導師たち、そして主である八神はやて。
 彼女らに攻撃され、原型も残らないほど蹂躙され、最後は次元の彼方に吹き飛ばされた。
 そのとき闇の書の闇は、ちょうど呱呱(ここ)の声をあげたばかり。そんな嬰児(えいじ)に等しい存在だった闇の書の闇にとって、その仕打ちがどれだけ残酷だったことか、誰にも判りはしない。生れ落ちたその瞬間に「おまえはいらない」と、苛烈な暴力とともに峻拒(しゅんきょ)されたのだから。

「……嫌ワレタ。咄嗟ニ、ソウ思イマシタ。ダカラ必死ニ叫ビマシタ。嫌ワナイデホシイ、私モミンナト一緒ニイタイ、ミンナト一緒ニ幸セニナリタイ。ソウ何度モ何度モ」

 分離して海上に顕現した防衛プログラム――闇の書の闇。その本体コアを地球の軌道上に転送するため総攻撃を仕掛けたのを、はやては思いだす。そのとき闇の書の闇は、声にならない声で悲鳴をあげていた。あれは闇の書の闇の――必死の哀願と痛哭(つうこく)だったのだ。
 闇の書の闇が淡々と語った、予想していた以上に惨憺たるその事実に、はやては絶句してしまう。あらかじめ考えていた慰めの言葉も、もはや意味がないと悟って空漠になる。
 はやては、まるで死んだ魚のように目を見開いたまま動けなかった。
 闇の書の闇は告白を続ける。痛々しいほど淋しげな表情で、今際のきわの言葉を繋ぐ。

「私モ愛サレタカッタ。守護騎士タチト同ジヨウニ。私モ主ハヤテノ心ニ残リタカッタ。リインフォースト同ジヨウニ。私モ同ジ世界デ生キタカッタ。……ミンナト同ジヨウニ」

 そう、追憶に結びをつけた。まるで遠すぎて届かなかった幸せを哀惜(あいせき)するかのように。


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イヒダリ彰人
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男性
趣味:
立ち読み、小説を書くこと
自己紹介:

イヒダリ彰人(あきひと)。
北海道に棲息する素人もの書き。
逃げ足はメタルスライムよりも速い。
でも執筆速度はカメのように遅い。
筆力が上がる魔法があればいいと常々思ってる。
目標は『見える、聞こえる、触れられる』小説を描くこと。

《尊敬する作家》
吉田直さん、久美沙織さん、冲方丁さん、渡瀬草一郎さん

《なのは属性》
知らないうちに『アリすず』に染まっていました。
でも最近は『八神家の人たち』も気になっています。
なにげにザフィーラの書きやすさは異常。
『燃え』と『萌え』をこよなく愛してます。

《ブログについて》
魔法少女リリカルなのはの二次創作小説を中心に掲載するサイト。
イヒダリ彰人の妄想をただひたすらに書きつらねていきます。
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