イヒダリの魔導書
魔法少女リリカルなのはEine Familie 第七話 『夜天の守護騎士ヴォルケンリッター』(4)
これにて第七話は終了。
第八話の更新は、3月7日(二週間後)を予定。
現在進行形で執筆中。
例によって戦いまくりです。
安井健太郎さんのラグナロクと同じくらい戦ってるんじゃないだろうか?
〈今週の機動戦士ガンダム00の感想……みたいなの〉
アニューが召されました。
ライルが必死に説得してるときから、そんな予感がひしひしと伝わってきました。
でも刹那さんよ。あんた武器だけビームライフルで狙い撃てなかったのかね?
てか、こういうときのためのトランザムなんじゃないの?
あれ使えば奇跡を起こせたかもしれないのに。
そしてアニューを助けられたかもしれないのに。
なんであんな容赦なく撃ち殺したんだろう。
まったく。そんな体たらくじゃ、ルイスを救済できないぜ。
はやては嬉し涙で眦が熱くなるとともに、鼻の奥がツンと痛くなるのを感じた。
「みんな……よかった。石化の解除はうまくいったみたいやね」
懐かしい……まるで何年も離れ離れだったような、狂おしいほどの郷愁を覚える。
それだけ守護騎士たちと一緒に過ごす日々が、当たり前だったということだろう。はやては、あらためて強く実感する。この瞬間を迎えるために、自分はがんばってきたのだと。
頼もしい背中をみせていた守護騎士たちが、はやての声に応えるように振り向く。
「はい。ありがとうございます、はやてちゃん。ご心配をおかけしました」
ヴォルケンリッターを代表して、シャマルが微笑みながら小さく頭を下げた。
四日ぶりのシャマルの声。はやてとユニゾンしているリインフォースが、愁眉を開いたような気配を窺わせる。はやても安堵を吐息をつく。瞬きした瞬間、涙が溢れそうだった。
「そんなことない。心配なんて、これっぽっちもしなかった。……だって決めてたから。わたしが助けるって、みんなを絶対助けるって。また逢えるって信じてたから」
わざと虚勢を張る。強がらないと、泣いてしまって言葉にならないだろうから。
はやては
「だから、わたしから言うことはただ一つ……おかえり、みんな」
厳粛だった守護騎士たちの態度が、目に見えて軟化していく。まるで母親に出迎えられて喜ぶ子供のように。幸せそうな情景だった。――そのときシグナムが恭しく口を開く。
「私たちは、主はやての守護騎士です。あなたが望めばいつどこにでも馳せ参じる覚悟があります。――が、まさかおまえまで来るとは思わなかったぞ、リインフォース」
『それは誰よりもいちばん、私自身が思っていたことだ。この数奇なめぐりあわせについて、主はやてや、おまえたちに話しておきたいことがあるんだが……』
リインフォースからの思念通話が、そこで一旦途切れる。意味深な沈黙は一瞬だった。
『まずは目の前の連中を片づけるのが先だろう。あれでは落ち着いて話もできない』
嘆息まじりにリインフォースが呟く。はやては騎士甲冑の袖で目の下に溜まった水膜を拭い、前方に視線を向けた。ヴォルケンリッターたちも、その方向に体の向きを変える。
はやてと守護騎士たちが注視する虚空には、闇の書の闇と、彼女が召喚した黒騎士たちがいた。目の錯覚かもしれないが、そのまわりの空間が不吉な陽炎のごとく歪んでみえる。
「……忌々シイ、忌々シイ、忌々シイ! ナゼオ前タチナンダ、ナゼオ前タチバカリッ!」
瞳孔をおぞましいほど開いて絶叫する闇の書の闇。ローブの裾を翻し、傍らの黒騎士たちに当り散らすそのさまは、まるで火がついたように泣き喚く赤ん坊の癇癪を彷彿とさせた。
「な、なに言ってんだ? こいつ」
ヴィータが鼻白んだようにたじろぐ。闇の書の闇の狂態は直視も憚られるほどだった。
憎しみの双眸を石炭のように燃え上がらせて、闇の書の闇は怒気に震える指先を守護騎士たちに突き出す。それから絹を裂くような声音を一音階跳ね上げて喚きはじめた。
「認メナイ! 私ハコンナ展開認メナイ! 殺シテヤル。オ前タチミンナ殺シテヤル!」
闇の書の闇は、血に塗れた刃のごとき
荒れ狂う殺意の奔流。だがそれをシグナムが、泰然と挑むような構えで睨み返す。
「……この禍々しい殺気。なるほど外見こそリインフォースに似ているが、その中身は間違いなく闇の書の闇らしいな。それにこの法外な魔力量。主はやてが苦戦するわけだ」
シグナムは合点がいったように口にする。しかし、その表情は最前よりもずっと険しい。闇の書の闇の、枯渇しそうにない魔力の横溢ぶりに、あらためて難儀を感じているようだ。
はやてと守護騎士たちが見守るなか、黒騎士たちが戦闘態勢へと移行していく。まるで闇の書の闇の憤怒に呼応したかのような動き出し。噴き荒れる怨嗟が大気すら凍らせる。
「みんな気をつけて……来るわ!」
シャマルが注意を喚起する。闇の書の闇が厳命を下したのは、そのすぐあとだった。
「黒騎士タチヨ――守護騎士タチヲ殺セ! 邪魔ナ奴ラヲ殺シ潰セッ!」
闇の書の闇が咆哮するやいなや、四人の黒騎士は虚空を疾駆していた。
身構える守護騎士たちに、黒騎士たちが襲いかかる。旋風は遅れてやってきた。
間を置かず、凄まじい魔力の爆発が連続する。海鳴市の中空はたちまち修羅の巷と化す。
八神はやて。守護騎士たち。彼女らの命運を決める、死闘の第二幕がはじまった。
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プロフィール
イヒダリ彰人(あきひと)。
北海道に棲息する素人もの書き。
逃げ足はメタルスライムよりも速い。
でも執筆速度はカメのように遅い。
筆力が上がる魔法があればいいと常々思ってる。
目標は『見える、聞こえる、触れられる』小説を描くこと。
《尊敬する作家》
吉田直さん、久美沙織さん、冲方丁さん、渡瀬草一郎さん
《なのは属性》
知らないうちに『アリすず』に染まっていました。
でも最近は『八神家の人たち』も気になっています。
なにげにザフィーラの書きやすさは異常。
『燃え』と『萌え』をこよなく愛してます。
《ブログについて》
魔法少女リリカルなのはの二次創作小説を中心に掲載するサイト。
イヒダリ彰人の妄想をただひたすらに書きつらねていきます。
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