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魔法少女リリカルなのはEine Familie 第六話 『吹けよ 祝福の風』(2)

魔法少女リリカルなのはEine Familie 第六話 『吹けよ 祝福の風』(2)を更新。
次回の更新は4日(水曜日)。
その話でようやく主役(八神はやて)が再登場します。
長かった。


昨日、スマップの番組内で放送された稲垣吾郎のドラマ。
仮面ライダーGがおもしろかった。
仮面ライダーのデザインもかっこよかったし、
武器も演出も本格的だった。
でも一番よかったのは、吾郎ちゃんを主演にしたことだと思う。
ワインのウンチクを言いながら戦うシーンとか、かなり笑えたから。
なんか動きがギクシャクしてたし。



「父さま、それは?」

 グレアムが本棚から取り出した装丁本を見つめながら、リーゼアリアが疑問を口にした。彼女の隣にいるリーゼロッテも胡散臭そうな眼差しで、その骨董古書を観察している。
 双子の姉妹の注目を一心に浴びる、その広辞苑のように分厚い装丁本を、グレアムはぱらぱらと捲っていく。定期的に掃除でもしていたのだろう、虚空に舞う埃の量は少ない。

「これは闇の書の封印方法を探していた頃に、無限書庫に毎日通いつめていた私が偶然見つけた〝魔導書〟だよ。ほんとうに予期せぬ発見だった」

 日記を音読するように話すグレアムの言葉に、リーゼロッテの猫耳がぴくりと反応した。

「魔導書? 無限書庫にあったものがどうしてここに、ってまさか――」
「そのまま持ってきてしまったんだ。やれやれ立派な窃盗罪だよ」

 自分たちの与り知らないところで、まさかグレアムが偸盗(ちゅうとう)めいたことをしていたとは……よもや夢想だにしていなかったらしい。リーゼロッテとリーゼアリアは唖然となった。
 一方、魔導書のページを捲り続けるグレアムは、言葉を失って沈黙する双子の姉妹に向かって微笑みかけた。まるで、共犯になってくれ、と唆すような不届きな笑顔で。

「……それで、その魔導書でなにをする気だったんですか?」

 リーゼアリアが呆れたように嘆息しつつ、相手の内心を探るように目を細くして訊ねた。
 呆気にとられる双子の姉妹の反応を楽しんでいたグレアムだったが、リーゼアリアにそう質問をされるやいなや、彼の表情はたちまちに真顔になる。三人のあいだに緊張感が漂う。

「この魔導書に編纂(へんさん)されている古代ベルカ式魔法の記述……それはおもに禁術と謳われているものだった。もっともその事実の正否は、その時代に生きていなかった私には判らないが」

 話しはじめたグレアムの口調は、遠い昔の失敗談を語るかのように感慨深げだった。

「当時、(わら)にもすがる思いだった私は、その禁術とやらに一縷の望みを託したんだ。だが結局、それは闇の書を封印する役にはたたなかったわけだが――」

 グレアムは何となく開いていた魔導書のページを閉じた。そして羽根のように……とまではいかないものの、見た目よりずっと軽くて持ちやすい魔導書の表紙を見据える。

「それを今になって使うことになるとは……まったく因果とはつくづく奇妙なものだ」

 この魔導書をグレアムが見つけたのは偶然だった。しかし、それを無限書庫から持ち出せたのは偶然でも奇蹟でもない。無数に点在する管理世界の歴史や技術を包括していると言われている無限書庫も、グレアムがその魔導書を見つけた十三年前は、さながら司書のいない図書館も同然。管理体制は度しがたいほどに杜撰だったのである。
 類いまれな検索能力を持つユーノ・スクライアの指示のもと、着々と整理整頓されつつある現在の無限書庫とは比較にならないほど、当時のその場所は雑然を極めつくしていたのだ。要諦(ようてい)も定かではないベルカ式の魔導書の一冊や二冊、紛失しても誰も気がつかないほどに。

「でもその禁術って、古代ベルカ式の魔法なんですよね? それだと、わたしたちの誰も使えないし、結局は何の役にたたないままなんじゃ……」

 リーゼロッテの進言は的を射ていた。ずっと昔に衰退した古代ベルカ式の魔法は、いまではその才能を受け継いだ一部の魔導師にしか使えない、幻の魔法体系と化している。
 残念ながらグレアムたちに、古代ベルカ式魔法を操る天稟(てんぴん)はない。だから(くだん)の魔導書を彼らが所有していても、ただの古色蒼然たる虎の巻でしかない。何の効果も発現しない古典だ。
 だが、ずばりと問題点を指摘されたにも拘わらず、グレアムの表情は平静だった。恐ろしく愚鈍で鈍感な人間だと錯覚してしまうほどに。彼は余裕ある態度を崩さない。

「たしかにロッテの言うとおりだ。私が後生大事に抱えていても、しょせんは宝の持ち腐れでしかない。だが私は、この魔導書に記載されている禁術をミッドチルダ式に翻訳することに成功した。さすがに十全とまではいかないが、それでも効能は充分に期待できるだろう」

 そんなグレアムの解答に、リーゼロッテが感に堪えぬとばかりの歎声(たんせい)を漏らす。

「翻訳……さすが父さま! とうに準備は整ってたわけですね!」
「……そういうことだ」

 瞳を輝かせて昂揚するリーゼロッテは、グレアムの呟きが苦笑混じりだったことに気づかない。グレアムは暗鬱そうに首を竦め、おのれの咎を告白しにきた罪人のように畏まっている。
 その一方で、リーゼアリアは瞠目していた。何か信じられない台詞を聞いたかのように、リーゼロッテの隣で棒立ちになっている。ほとんど心ここにあらずの(てい)だった。
 さっきグレアムが口にした言葉――古代ベルカ式魔法の翻訳。それは現在、時空管理局がミッドチルダ式魔法を基盤に、古代ベルカ式魔法をエミュレートして再現しようとする技術と、あまりに類似していたからである。リーゼアリアの驚きも当然だろう。管理局でさえ、いまだ実験段階の魔法技術を、よもやグレアムが完成させていたのだから。

「しかしこの魔導書に記載されている魔法は、かりそめにも禁術と謳われている代物だ」

 異なる気色をみせる双子の姉妹を眺めながら、グレアムは深刻な口調で言葉を重ねる。

「この禁術は条理さえ歪ませるほどに強力だが、それに見合った代償を術者にも課す」

 リーゼロッテとリーゼアリアが眉を曇らせた。おそらく得体の知れない不安に胸がざわついているのだろう。それだけグレアムの表情と声音は差し迫っていたのだ。
 思えば……疑問はあったはずである。なぜその禁術を、はやてに伝えなかったのか、と。
 はやては古代ベルカ式魔法の使い手だ。しかも蒐集行使という希少技能(レアスキル)保持者である。彼女なら他の誰よりも完璧に、その禁術を使いこなしてみせるだろう。
 だがグレアムは、それを拒んだ。そうすることを拒絶した。まるでそのことを念頭においていなかったかのように、彼は一貫して、はやての前で禁術の話をしなかったのだ。
 リーゼロッテとリーゼアリアが不安そうな眼差しで見つめてくる。
 グレアムは断腸の思いで声を振り絞った。

「この禁術を使えば、おそらく私は……死ぬだろう」

 その声は深く重く響き、衝撃と戦慄の波紋を三人のあいだに拡げていった。


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イヒダリ彰人
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男性
趣味:
立ち読み、小説を書くこと
自己紹介:

イヒダリ彰人(あきひと)。
北海道に棲息する素人もの書き。
逃げ足はメタルスライムよりも速い。
でも執筆速度はカメのように遅い。
筆力が上がる魔法があればいいと常々思ってる。
目標は『見える、聞こえる、触れられる』小説を描くこと。

《尊敬する作家》
吉田直さん、久美沙織さん、冲方丁さん、渡瀬草一郎さん

《なのは属性》
知らないうちに『アリすず』に染まっていました。
でも最近は『八神家の人たち』も気になっています。
なにげにザフィーラの書きやすさは異常。
『燃え』と『萌え』をこよなく愛してます。

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魔法少女リリカルなのはの二次創作小説を中心に掲載するサイト。
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