イヒダリの魔導書
『ひのまるっ』の感想
テレビアニメ風学園ラブコメADV『ひのまるっ』をプレイしました。
これは2010年に『WHEEL』から発売されたPCゲームです。
攻略対象キャラは全部で5人。
ただしハーレムルートにもうひとり登場するので実質は6人です。
各ルートの構成は章仕立て(ハーレムルートを除く)。全13話の構成となっています。
1週目の攻略には8時間くらいかかりました。
2週目以降は既読スキップを使えるので、1週目の約半分くらいの時間で終わります。
絵が気に入れば暇つぶしに最適のゲームです。
以下、ゲームの『良かったところ』と『悪かったところ』の解説。
【良かった点】
会話のテンポ――
台詞の途中でころころと変わる立ち絵がノリの良さを演出しています。
声優さんの演技とキャラの印象の合致――
ここまで違和感がないのは逆にめずらしい。
最初から最後までコメディ――
下手にシリアスを入れられるより断然よかった。やっぱりコメディは明るさが命だ。
メインヒロイン『鷹城 日乃』の存在――
いつも主人公に無理難題を押しつける困った生徒会長。しかしそれは好きな人に頼りたいという女心の裏返し。その素直になれない屈折した態度にイヒダリはぐっときた。ビジュアルもいちばん好みだった。
このヒロインに出会えてよかったと思う。
でもシナリオでいちばん好きなのは『菱木 奏』のそれだった。
たぶんフィーリングが合ったんだと思う。あと作中で流れた挿入歌が気に入った。
【悪かった点】
同じようなノリのボケとツッコミが最初から最後まで続く――
1週目では気にならない。でも2週目以降になると食傷気味になる。飽きてきます。
主人公のキャラ作り――
THE・鈍感。
この手のジャンルにありがちな「なんの努力も行動もせず最初からヒロインに好かれている」主人公です。だから彼は意中のヒロインの恋心に気づくだけでいい。むしろヒロインの側に攻略される有様です。
かててくわえて気は遣うけど気が利かないという偽善者の典型のような性格。
とてもじゃないが感情移入は不可能だった。
【総評】
コメディとして充分に楽しめる内容だった。攻略対象のヒロインたちも個性的で良い。
唯一の汚点は主人公のキャラ作り。それさえなければ誰にでもオススメできる作品だった。
『君の名残は静かに揺れて』の感想
2010年の5月にユニゾンシフト:ブロッサムから発売されたPCゲーム『君の名残は静かに揺れて』をプレイしました。
これは同社の『Flyable Heart』のスピンオフ作品です。
攻略可能ヒロインは『白鷺茉百合』ひとりだけ。
前作で人気が出た彼女に焦点を当てたファンディスクといった感じです。
攻略キャラがひとりだけなので、ゲーム本編はさっくり終わります。
とはいえストーリー自体に手抜きはいっさいなく、茉百合のバックボーンがきちんと描かれていました。
ゲームのストーリーは主に、前半と後半のふたつ、に分別することができます。
ここでは便宜上、前半を『学園編』、後半を『白鷺家編』と称します。
まずは前半の『学園編』ですが、これは当然ながら普通の恋愛物語。主人公とヒロインが恋人同士になるまでの顛末を描いています。恋愛アドベンチャーの醍醐味ですね。
ところが近年のエロゲーには、“鈍感”主人公が跳梁しています。
なので攻略対象のヒロインに、逆に攻略される、というマヌケな状況が多いです。
このゲームの主人公もその呪うべき精神性を備えています。
非常に嘆かわしいことです。
しかし幸か不幸か茉百合は『他人と自分とのあいだに壁を作る』タイプの人間です。
ただ黙っているだけでは好きになってくれません。
だから主人公は必死になって自己アピールします。好きな女の子を振り向かせるために、七転八倒しながらも、恋の成就に向けて奔走してくれます。
そのためプレイしていてもストレスを感じることはありませんでした。
とてもおもしろかったです。
なのに後半の『白鷺家編』は……
まるで物語の形をしたキャラ紹介。
茉百合とその家族の設定を淡々と読まされ続けます。
しかも全体的にドロドロした話なので、盛りあがる場面がほとんどないという有様。
唯一印象に残っているのは、薬を盛られた主人公がサブキャラに逆レイプされてバッドエンド、くらいしか思いつかない。
つまらなかった原因としてあげられるのは、ヒロインをゲットするために努力していた前半とは打って変わって、主人公の態度や行動が受動的だったことです。
たしかに主人公は、白鷺家の人たちにしてみれば、『招かれざる客』だ。
だから下手な行動を起こせなかったのもわかる。現実的に考えれば当然の判断です。
けれど茉百合と添い遂げるために、もう少し能動的に動いてほしかった。
そして茉百合とその家族の確執を、なんとか自力で解決してほしかった。
前半のストーリーがとてもよかっただけに、後半の停滞した空気はいささか残念でした。
やっぱ主人公はガンガン攻めてくれたほうが見ているほうも楽しいな。
ここから先は、イヒダリが“おもしろい”と思ったことを、画像付きでご紹介。
ネタバレはありませんが、その代わりに、少しエッチなイラストを載せています。
なので苦手な方はお気をつけください。
『Dies irae ~Acta est Fabula~』の感想
『Dies irae ~Acta est Fabula~』をプレイしました。
これは2009年の12月にlightから発売されたPCゲームです。
ジャンルは“伝奇バトル”モノ。
同じジャンルの最高峰『Fate stay/night』と、よく比べられていますが、比較したくなる気持ちもなんとなくわかります。
ひいき目なしに、とてもよく出来ていたので。
攻略対象キャラは『綾瀬 香純』、『櫻井 螢』、『マリィ』、『氷室 玲愛』の4人。
攻略にかかった時間は約40時間ほどでした。
長かったです。
このゲームのテーマは『永劫回帰からの脱却』という小難しいもの。
砕いて言うなら、ループから抜け出して新しいルートに進もうぜ、という感じですね。
広げた風呂敷をちゃんと畳めるのか不安になるテーマですが、完成に時間をかけただけあって、全ルート納得(説明過多でテンポが悪いのが玉に瑕だったが)の出来でした。
前座的なポジションだと思っていた『香純ルート』や『螢ルート』が、プレイ開始直前までの不躾きわまる予想に反して楽しめたのも大きい。
どうせ全体の補足みたいな話になるんでしょ、と侮っていたので、これは良い意味で期待を裏切られる結果だった。
ただシナリオライターが心から書きたかったのは、『マリィルート』と『玲愛ルート』だと感じました。
話が核心の部分に触れていたし、うまく言葉にできませんが、なんかパワーが圧倒的だったので。
あと一方のルートが“主人公とその仲間”にスポットを当てているのに対して、もう一方のルートが“敵側”の動機や確執にスポットを当てていると思ったから。
身も蓋もなく言うと上記の2ルートだけで、この『Dies irae』という物語は完結します。
つまり“永劫回帰から脱却”していない『香純ルート』と『螢ルート』は、やはり『マリィルート』(裏設定によればマリィルートも永劫回帰から脱却していないらしいが)と『玲愛ルート』のオマケでしかなかったわけです。
あるいはファンサービスというべきだろうか?
このゲームは『燃えゲー』と思わせつつ、実際は『キャラゲー』の要素が濃いので、好みのキャラがいないと楽しめないと思う。
あと驚嘆したのは声優さんの演技です。
みんなすごかった。
おそらく声優さんたちの尽力がなかったら、このゲームのおもしろさは半減だったと思う。
それくらい見事な演技でした。
あらためて「声優さんってスゲー!」と感じました。
続いては。
このゲームの全ルート中、もっとも評判が良い(?)らしいマリィルートを、かいつまんで紹介します。
ただしネタバレを含む(というかネタバレばかり)ので、ゲームをクリアした方、またはネタバレが気にならない方以外は、いったん考える間をおいてからお進みください。
ゴニン!? ~ピタリと的中!強制占い♪~ 感想
『ゴニン!? ~ピタリと的中!強制占い♪~』をプレイしました。
これは2010年5月28日に『STUDIO邪恋』から発売されたPCゲームです。
原画は本田直樹さん。
アニメ化もした名作(迷作?)『らいむいろ戦奇譚』の原画を担当した方です。
この業界に長くいらっしゃる方なので、もちろん絵のレベルは申し分ありません。
立ち絵もイベントシーンの絵も抜群にうまいです。
しかしイヒダリはイベントシーンよりも、立ち絵のほうが綺麗に描かれていたと思う。
イベントシーンの絵(とくに神月ぼたん)は、キャラの顔が少し崩れていたように感じたので。
まあ完全に主観ですが。
シナリオのほうは完全に“ヌキ”に特化しています。
なのでストーリーはあってないようなもの。
あらゆる設定がヒロインとエッチするためだけに存在しています。
変な恋愛描写もないので純粋にエロだけを楽しめます。
各ヒロインの攻略は選択肢の総当たりでOK。
攻略サイトの威光に頼らなくても、適当にやっていればクリアできます。
ただし各ヒロインのエッチシーンをすべて集めるには周回プレイが必須。
作業が苦手な人は好きなヒロインだけをクリアして満足してしまうかもしれません。
ですが。
ライターさんが差分も含めて大量のテキストを書いているので、もしプレイする機会があれば全部のイベントを見てほしいと思う。
あとはゲームの主題歌である片霧烈火さんの「ソラミミライフ」がお気に入り。
なんとなく下記にデモムービーを載せてみました。
興味のある方は一度視聴してみてください。
『リアル妹がいる大泉くんのばあい』の感想
あ……ありのまま、今、起こったことを話すぜ!
「おれはヌキゲーをやっていると思っていたのに、気がついたら感動系のゲームをプレイしていた」
な、なにを言っているのかわからねーと思うが(以下、中略)
この作品は2010年に『ALcotハニカム』から発売されたPCゲームです。
シナリオライターは、文章力と妹キャラの描写に定評がある、『おるごぅる』さん。
しかし性根の腐ったイヒダリは、このライターさんのゲームを初めてプレイする上に、他人の評価は斜に構えて見てしまう傾向があるので、さほど期待はしていませんでした。
冒頭でも、とあるキャラの名言を借りて触れましたが、軽い印象のタイトルから判断して、値段相応のヌキゲーだと思っていました。
その認識はゲームを進めていくうちに瓦解していったわけですが……
まず攻略可能なキャラは3人。
そのうち2人はエロシーンを補完するだけのオマケ程度(レビューを書くために、もう一度やりなおしたが、そんなことはなかった)でしたが、メインシナリオの『リアル妹』ルートの出来は、贔屓目なしに「これは良作だ!」と断言できるものでした。
とくに主人公と妹の関係には意表を衝かれました。
まさか妹の釣れない態度に、あんな裏事情があったとは。
少女マンガではありそうだけど、エロゲーには無かった展開でした。……たぶん。
妹との関係が世間にバレて冷たい目で見られる、なんて鬱イベントはないので、安心してエンディングを迎えられるのも好印象。
なによりエンディングを迎えたあとの演出が素晴らしかった。
真新しさがあったわけではないんですが、プレイ後の余韻を引き立てる良演出でした。
これからは妹ゲーも要チェックだな!
てな感じで、イヒダリは『リアル妹がいる大泉くんのばあい』を、堪能しました。
これほど他人に勧めたくなったゲームは久しぶりです。
もし興味がある方がいれば、ぜひプレイしてみてください。
《追記》
最後に。
イヒダリが個人的に「おもしろい」と思ったシーンを紹介します。
ですが普通にネタバレっぽいので、このゲームをプレイしたことがない方、あるいはネタバレが気になる方は、いちおう自己責任でおねがいします。
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プロフィール
イヒダリ彰人(あきひと)。
北海道に棲息する素人もの書き。
逃げ足はメタルスライムよりも速い。
でも執筆速度はカメのように遅い。
筆力が上がる魔法があればいいと常々思ってる。
目標は『見える、聞こえる、触れられる』小説を描くこと。
《尊敬する作家》
吉田直さん、久美沙織さん、冲方丁さん、渡瀬草一郎さん
《なのは属性》
知らないうちに『アリすず』に染まっていました。
でも最近は『八神家の人たち』も気になっています。
なにげにザフィーラの書きやすさは異常。
『燃え』と『萌え』をこよなく愛してます。
《ブログについて》
魔法少女リリカルなのはの二次創作小説を中心に掲載するサイト。
イヒダリ彰人の妄想をただひたすらに書きつらねていきます。
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