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『君の名残は静かに揺れて』の感想



 2010年の5月にユニゾンシフト:ブロッサムから発売されたPCゲーム『君の名残は静かに揺れて』をプレイしました。
 これは同社の『Flyable Heart』のスピンオフ作品です。
 攻略可能ヒロインは『白鷺茉百合』ひとりだけ。
 前作で人気が出た彼女に焦点を当てたファンディスクといった感じです。
 攻略キャラがひとりだけなので、ゲーム本編はさっくり終わります。
 とはいえストーリー自体に手抜きはいっさいなく、茉百合のバックボーンがきちんと描かれていました。

 ゲームのストーリーは主に、前半と後半のふたつ、に分別することができます。
 ここでは便宜上、前半を『学園編』、後半を『白鷺家編』と称します。
 まずは前半の『学園編』ですが、これは当然ながら普通の恋愛物語。主人公とヒロインが恋人同士になるまでの顛末を描いています。恋愛アドベンチャーの醍醐味ですね。
 ところが近年のエロゲーには、“鈍感”主人公が跳梁しています。
 なので攻略対象のヒロインに、逆に攻略される、というマヌケな状況が多いです。
 このゲームの主人公もその呪うべき精神性を備えています。
 非常に嘆かわしいことです。
 しかし幸か不幸か茉百合は『他人と自分とのあいだに壁を作る』タイプの人間です。
 ただ黙っているだけでは好きになってくれません。
 だから主人公は必死になって自己アピールします。好きな女の子を振り向かせるために、七転八倒しながらも、恋の成就に向けて奔走してくれます。
 そのためプレイしていてもストレスを感じることはありませんでした。
 とてもおもしろかったです。

 なのに後半の『白鷺家編』は……
 まるで物語の形をしたキャラ紹介。
 茉百合とその家族の設定を淡々と読まされ続けます。
 しかも全体的にドロドロした話なので、盛りあがる場面がほとんどないという有様。
 唯一印象に残っているのは、薬を盛られた主人公がサブキャラに逆レイプされてバッドエンド、くらいしか思いつかない。
 つまらなかった原因としてあげられるのは、ヒロインをゲットするために努力していた前半とは打って変わって、主人公の態度や行動が受動的だったことです。
 たしかに主人公は、白鷺家の人たちにしてみれば、『招かれざる客』だ。
 だから下手な行動を起こせなかったのもわかる。現実的に考えれば当然の判断です。
 けれど茉百合と添い遂げるために、もう少し能動的に動いてほしかった。
 そして茉百合とその家族の確執を、なんとか自力で解決してほしかった。
 前半のストーリーがとてもよかっただけに、後半の停滞した空気はいささか残念でした。
 やっぱ主人公はガンガン攻めてくれたほうが見ているほうも楽しいな。

 ここから先は、イヒダリが“おもしろい”と思ったことを、画像付きでご紹介。
 ネタバレはありませんが、その代わりに、少しエッチなイラストを載せています。
 なので苦手な方はお気をつけください。
 

 劇的ビフォーアフター『きみなご』編。

 before――

bc4b9399.jpg






 画像は主人公のことを好きじゃないときの茉百合です。
 もちろん毛嫌いしているわけではありませんが、出会ってから間もないということもあり、主人公に対して恋愛感情は毛ほどもありません。
 ちょっとおもしろい男の子、と思っている程度です。
 にしても素晴らしい艶姿だ。
 名前に“百合”の文字が入っているヒロインだけど、もし彼女を花に喩えるなら、イヒダリは冬に大輪を咲かせる“寒牡丹”を推したい。
 彼女の孤独を望む姿勢が、綺麗だけど寂しそうな面立ちが、冬の風情にピッタリだから。
 では次にいきます。

 after――

e61906e2.jpg






 画像は主人公の告白を受け入れた直後の茉百合です。
 先ほどの画像とは大違いですね。デレまくっております。
 しかも着ているのは、色の派手さから判断して、明らかに勝負下着です。
 今まで「私には構わないで!」とか言ってくせに、でも実際は、いつでも主人公を受け入れる気マンマンだったという。
 なんて天の邪鬼な女だ。言っていることとやっていることが完全に矛盾しています。
 でも、そういう素直じゃないところが、前作ではウケたのでしょうね。
 わかります。すごくよくわかります。
 やっぱりデレる女の子は正義ということか。まったくデレは奥が深いぜ。
 

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イヒダリ彰人
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男性
趣味:
立ち読み、小説を書くこと
自己紹介:

イヒダリ彰人(あきひと)。
北海道に棲息する素人もの書き。
逃げ足はメタルスライムよりも速い。
でも執筆速度はカメのように遅い。
筆力が上がる魔法があればいいと常々思ってる。
目標は『見える、聞こえる、触れられる』小説を描くこと。

《尊敬する作家》
吉田直さん、久美沙織さん、冲方丁さん、渡瀬草一郎さん

《なのは属性》
知らないうちに『アリすず』に染まっていました。
でも最近は『八神家の人たち』も気になっています。
なにげにザフィーラの書きやすさは異常。
『燃え』と『萌え』をこよなく愛してます。

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魔法少女リリカルなのはの二次創作小説を中心に掲載するサイト。
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