イヒダリの魔導書
いまさらバレンタインSS? でも気にしない
突発的に書いた。だからすごく短い。推敲もしてない。
でもまあ……たまにはいいかな?
機動六課の隊舎内。ヴァイスの私室にて。
「お兄ちゃん。これ、バレンタインのチョコレート」
「おっ、こいつは嬉しいな。開けてもいいか?」
「もちろん。だってお兄ちゃんのために作ったんだから」
最愛の妹――ラグナの笑顔が眩しい。誰もが羨む微笑である。
その微笑みを今、ヴァイスは独り占めにしているのだ。
しかも丹精こめて作られたと思われるチョコレートのおまけ付きで。
最高に幸せである。
「じゃ、じゃあさっそく、開けさせてもらうぜ」
感涙に咽びながら、ヴァイスは掌サイズの小箱を開ける。
そして絶句した。どうしようもなく絶望した。
「お兄ちゃんのために一生懸命作った眼球チョコレート。ちなみに左目だよ」
「そ、そんな……ラグナ……そんなにお兄ちゃんのことが嫌いなのか?」
「そんなことないよ。大好きだよ。……だから、ちゃんと味わって食べてね」
「う、うおぉぉぉっ。胸が、胸が痛い。罪悪感で胸が痛いぃぃ」
ヴァイスは胸を掻きむしりながら、床にのたうちまわって悶絶する。
そんな兄の醜態を尻目に、ラグナの微笑はあいからず輝いていた。
しかし、ほのかに黒い気配を漂わせているのは、はたして気のせいだろうか。
一方、そんな兄妹の陰惨な愁嘆場を、ドア越しに立ち聞きしている者がいた。
「ヴァイス陸曹……お可哀想にッ!」
グリフィス・ロウランだった。哀れな同僚の運命に、彼はひそやかに涙した。
この記事にコメントする
この記事へのトラックバック
- この記事にトラックバックする
カレンダー
Web拍手
プロフィール
イヒダリ彰人(あきひと)。
北海道に棲息する素人もの書き。
逃げ足はメタルスライムよりも速い。
でも執筆速度はカメのように遅い。
筆力が上がる魔法があればいいと常々思ってる。
目標は『見える、聞こえる、触れられる』小説を描くこと。
《尊敬する作家》
吉田直さん、久美沙織さん、冲方丁さん、渡瀬草一郎さん
《なのは属性》
知らないうちに『アリすず』に染まっていました。
でも最近は『八神家の人たち』も気になっています。
なにげにザフィーラの書きやすさは異常。
『燃え』と『萌え』をこよなく愛してます。
《ブログについて》
魔法少女リリカルなのはの二次創作小説を中心に掲載するサイト。
イヒダリ彰人の妄想をただひたすらに書きつらねていきます。
もちろん無断転載は厳禁。
《連絡先》
aki_ihidari☆yahoo.co.jp
なにかあれば上記まで。
☆を@にしてお願いします。