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フェイトの赤っ恥

『魔法少女リリカルなのはA's』の二次創作SSです。短編です。
 話の主役は『フェイト・テスタロッサ』。
 話の時期はA's本編の序盤あたりです。

 ジャンルはギャグ。
 そんなつもりはなかったのに「あるあるネタ」になってしまいました。
 ドジッ子に進化したフェイトちゃんの姿をご覧あれ。
 


 左右に開いた自動ドアから中に入る。
 視界に飛びこんできたのは、老若男女の人の群れだった。
 この賑やかな場所は、海鳴市の駅前に店舗を構える、とある有名な百貨店。
 なのは、フェイト、すずか、アリサの四人は、休日を利用してショッピングにやってきたのだ。

「――話には聞いていたけど、想像以上の人の数だね」

 フェイトは圧倒された口調でつぶやいた。
 人造生命体という特殊すぎる生い立ちから、半年前まで浮世離れした生活を送っていた彼女は、こういう騒々しい場所に縁がなかったのだ。
 はじめて見る光景に思わず気後れしてしまう。
 そんなフェイトの心情を察したのか、なのはが励ますように笑顔を見せる。

「そうだね。迷子にならないように、お互い気をつけないと」

 他の二人には内緒だが、フェイトと同じく、なのはも魔導師である。
 こちらの事情も知っているため、この不慣れな異世界の中で、もっとも信頼できる友人だった。

「それで最初は、どこに行くの? まずは洋服を見るんだっけ?」

 なのはが質問する。答えたのは発起人のアリサだった。

「そうよ。たしか売り場は上の階にあったわね」
「だったらエスカレーターを使わない?」

 と、すずかの提案。

「この人の多さじゃエレベーターは混んでそうだし」
「……うん」

 すずかの意見を聞いて、フェイトは小さく頷いた。
 同年齢の子供と比べて、しっかりしているが、まだ四人は小学三年生。
 大人とは体格に差があった。
 もしもエレベーターの中で、他の客たちと押し合いになれば、誰か怪我をするかもしれない。
 そんな危険は断じて冒せなかった。

「私は賛成。上の階にはエスカレーターで行こう」

 そう言ってフェイトは、すぐさま進路を変えた。
 つかつかと近場のエスカレーターに向かう。
 ところが目の前の昇降装置は、彼女を陥れる悪魔の罠であった。

「あ、フェイトちゃん! ちょっと待って! そのエスカレーターは――」

 フェイトに制止を呼びかける、なのはの声は間に合わなかった。
 直後に奇声をあげるフェイト。
 自分の側に流れてくる踏み板に足を乗せてバランスを崩してしまう。
 それでもなんとか転倒は免れたが、ひどく滑稽な姿をさらしてしまった。
 このエスカレーターは昇り用ではなく降り用だったのだ。

「フェ、フェイトちゃん……」

 後ろから、なのはの声。
 なぜだろう。もっとも頼れる親友の声が、今は恐怖の対象でしかない。
 自意識過剰に陥ったフェイトは、おそるおそる背後を振り返った。

「う……」

 そして彼女が目にしたのは、なのはとアリサの、まぎれもない同情のまなざし。
 フェイトの顔は火傷したように赤くなる。
 羞恥は一気に臨界点を突破した。

「うわぁぁぁッ!」

 フェイトは叫んだ。狂人のように叫んだ。
 そして我知らず――逃げだしていた。

「あ、フェイトちゃん! それは降り用のエスカレーター」

 なのはが呼び止めたが、フェイトは止まらなかった。
 声は耳に入っていたが、聞こえてはいなかった。
 ただ降り用のエスカレーターを、脇目も振らず必死に駆けあがる。思いきり逆走する。
 そうすれば、さっきの自分の失敗を取り消せる、というように。
 そんなフェイトの痴態を見て、すずかが口に手を当てて笑う。

「フェイトちゃん……かわいい」

 終わり。

 

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プロフィール

HN:
イヒダリ彰人
性別:
男性
趣味:
立ち読み、小説を書くこと
自己紹介:

イヒダリ彰人(あきひと)。
北海道に棲息する素人もの書き。
逃げ足はメタルスライムよりも速い。
でも執筆速度はカメのように遅い。
筆力が上がる魔法があればいいと常々思ってる。
目標は『見える、聞こえる、触れられる』小説を描くこと。

《尊敬する作家》
吉田直さん、久美沙織さん、冲方丁さん、渡瀬草一郎さん

《なのは属性》
知らないうちに『アリすず』に染まっていました。
でも最近は『八神家の人たち』も気になっています。
なにげにザフィーラの書きやすさは異常。
『燃え』と『萌え』をこよなく愛してます。

《ブログについて》
魔法少女リリカルなのはの二次創作小説を中心に掲載するサイト。
イヒダリ彰人の妄想をただひたすらに書きつらねていきます。
もちろん無断転載は厳禁。

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