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魔法少女リリカルなのはEine Familie 第四話 『優曇華の邂逅』(1)

魔法少女リリカルなのはEine Familie 第四話 『優曇華の邂逅』(1)を更新。
魔法少女リリカルなのはEine Familie(アイネファミーリエ / 家族)も第四話に突入です。
第四話の更新予定日は、(2)が21日、(3)が23日、(4)が26日を予定しています。

今年中にできる長編の更新は、第四話で終わりだと思います。
第五話からは年をまたぐことになりそうです。
なのでよりいっそう気合をいれます。ぜひ読んでもらえると嬉しいです。



 ルナリス・フォルクスワーゲン執務官に連行された――今となってはそれも誤謬(ごびゅう)ではない――はやてを待ち受けていたのは、事情聴取などではなかった。
 名も知らぬ数人の検察官たちによる尋問……いや、そんな表現では温すぎる。まさに事件の調書作成を歪んだ形に悪用した、恫喝や諸々の陰湿な圧力が公然と(まか)りとおる精神的打擲(ちょうちゃく)による拷問に他ならなかった。
 殴る、蹴る、突く、刺す。そういった後になって証拠として残るような暴行こそ加えられなかったものの、本当のことを白状しなければ食事も与えないと脅され、睡魔に抗えずついウトウトしていると、それを見咎めた検察官のひとりに容赦なく頭から水をぶっかけられた。
 十一歳の少女に対する執行とはとうてい思えない、あまりにも(じょ)しがたい所業である。が、はやてを責め立てる検察官たちの恫喝はさらにエスカレートしていくこととなる。
 はやての処遇を決定する会議に列席していた議員たちが襲撃され、その場にいた全身が石化魔法をかけられてしまったという、前代未聞の大事件が起こったからだ。
 だがそれは石化魔法という因果関係こそあるものの、はやての窮状を悪化させるような事件ではないはずだった。紛れもなく、彼女の目が届かない場所で起こった悲劇だったのだから。
 しかし、はやてを尋問する検察官たちは異常なまでに偏向した見解を弾きだしていた。
 そもそも蟻の子一匹通さないセキュリティシステムを敷設(ふせつ)している本局に、まるで出入り自由のように易々と、しかも痕跡すら残さない侵入者の存在自体がありえない。
 だが事実として、本局はこの狼藉者の侵入を許してしまっている。鉄壁を自負するセキュリティシステムを無力化されたのみならず、まんまと逃げられてしまったという屈辱付きでだ。
 これは決してあってはならない失態であり、また認めてもならない挫折であった。
 だからこそ可及的速やかに、どのような手段を用いても、侵入者の逮捕は絶対だった。管理局の威信に賭けて、次元世界の平和を担う守護者の矜持に誓って。
 がしかし、侵入者の行方は杳としてしれない。なにかに追い立てられるような焦燥に駆られた検察官たちは、とある人物に白羽の矢を立てる。
 それが、八神はやてだった。
 なにせ彼女は多くの人間を不幸に(おとし)めた闇の書の主だ。そのことではやてを(うと)んじている者は多くいるし、加えて彼女は今回の襲撃事件の容疑者候補でもある。
 むろん証拠など何もない。が、そんなものは後からいくらでもでっちあげることできる。
 まさに適材適所。凶悪な次元犯罪者の汚名を被ってもらうのに、これほど打ってつけの人物は他にいるまい。そう検察官たちは思いを巡らし、そして結論づけた。
 それからはやてに対する執拗で、しかし益体も何もない自白強要が延々と続けられた。
 食事を摂ることも寝ることも満足に許されず、文字どおり果てしなく続けられる尋問。
 そんな生き地獄からはやてが、検察官たちの請求した起訴が不成立という理由で釈放されたのは、それから三日目――クロノと分かれたその日から数えると四日目――の朝のことだった。


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イヒダリ彰人
性別:
男性
趣味:
立ち読み、小説を書くこと
自己紹介:

イヒダリ彰人(あきひと)。
北海道に棲息する素人もの書き。
逃げ足はメタルスライムよりも速い。
でも執筆速度はカメのように遅い。
筆力が上がる魔法があればいいと常々思ってる。
目標は『見える、聞こえる、触れられる』小説を描くこと。

《尊敬する作家》
吉田直さん、久美沙織さん、冲方丁さん、渡瀬草一郎さん

《なのは属性》
知らないうちに『アリすず』に染まっていました。
でも最近は『八神家の人たち』も気になっています。
なにげにザフィーラの書きやすさは異常。
『燃え』と『萌え』をこよなく愛してます。

《ブログについて》
魔法少女リリカルなのはの二次創作小説を中心に掲載するサイト。
イヒダリ彰人の妄想をただひたすらに書きつらねていきます。
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