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『雷の季節の終わりに』の感想

 恒川光太郎さん著作の『雷の季節の終わりに』を読了。
 第12回日本ホラー大賞を受賞した『夜市』に負けず劣らずの傑作だった。
 むしろ進化していたとさえ思う。
 以前に読んだ『夜市』も、たしかに素晴らしかった。
 けれど異界などが登場するわりには地味で、良くも悪くも堅実で冒険味がない印象だった。
 しかし。
 この作品には程よく“けれん”があった。『夜市』に足りなかった躍動感があった。
 妖しく、容赦なく、けれど美しく、より幻想的になった不思議の世界が、約400ページの中に展開していた。
 おもしろかった。
 大事なことなので、もう一度いいます。
 すごくおもしろかったです。
 日本にありながら日本にはない『穏』という名の隠れ里。
 そこを主な舞台に繰り広げられる主人公『賢也』の波乱の叙述――
 雷の日に失踪する姉、主人公に憑りつく謎の化鳥『風わいわい』、外の世界と村との境界を守る門番、寄る辺を求めて徘徊する幽霊、主人公の立場を大きく変える殺人事件、そして不死身の怪物との対決――
 伏線を丁寧に回収しつつ、くわえて静から動へと切り替わっていく構成は、まさに神がかっていました。
 とくに後半の怒涛の展開は一読の価値あり。ページをめくる手が止まりませんでした。
 もちろん著者の端正で美しい文体も健在。
 誰でも知っている語彙で書かれた文章なのに、よく読んでみると、言葉の選び方や比喩の使い方にプロの技がある。
 その無駄な贅肉をいっさい排した筆致は、文章の手本にするにはもってこいだと思う。
 もう少し早くに出会っていれば、この人の文体を臨模したってのに……
 ほんとに残念だ。

《余談》

【漫画家】こげどんぼ*結婚へ 漫画家は結婚後も継続予定

 ご結婚おめでとう!
 どうかお幸せに。
 

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イヒダリ彰人
性別:
男性
趣味:
立ち読み、小説を書くこと
自己紹介:

イヒダリ彰人(あきひと)。
北海道に棲息する素人もの書き。
逃げ足はメタルスライムよりも速い。
でも執筆速度はカメのように遅い。
筆力が上がる魔法があればいいと常々思ってる。
目標は『見える、聞こえる、触れられる』小説を描くこと。

《尊敬する作家》
吉田直さん、久美沙織さん、冲方丁さん、渡瀬草一郎さん

《なのは属性》
知らないうちに『アリすず』に染まっていました。
でも最近は『八神家の人たち』も気になっています。
なにげにザフィーラの書きやすさは異常。
『燃え』と『萌え』をこよなく愛してます。

《ブログについて》
魔法少女リリカルなのはの二次創作小説を中心に掲載するサイト。
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