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招かれざる者の秘録~騎士王の遍歴~ 第二章『~英雄の遍歴~』(4)

 どうも。二週間ぶりでございます。
 中編クロスオーバーSSの更新です。
 今回も例によって難産でしたが、なんとか書きあげることができました。
 そして今回の話で第二章『~英雄の遍歴~』も終ります。
 予定では、もう一話くらい続くはずだったんですが、うまくまとめることができました。
 次回の更新は11日(来週の日曜日)を予定しています。
 なんと最終回です。……たぶん。
 なので、もうしばらくお付き合いしていただけると幸いです。

 では『セイバーさん覚醒!? 両雄の死闘ついに決着!』をお楽しみください。

 あ、それとこのSSのINDEXはこちらです。
 はじめて来られた方は、上記からどうぞ。
 


 セイバーと黒騎士の斬撃の応酬は、端的に言えば交互に刃をぶつけているだけだった。
 いわば幼い子供の喧嘩のようなものだ。技もなければ型もない陳腐な殴り合いである。
 ただ打ち合うごとに火花を咲かせる宝剣と魔剣の威力が、間断なく絶えることなく繰り返される攻防のスピードが、この世界の物理法則を裏切る領域に達しているというだけ。
 小細工は必要ない。そう言わんばかりの連続攻撃が、雷光さながら激しく閃き続ける。
 両者はひたすらに相手の一撃を凌駕する、会心の一撃だけを求めて剣を振るっていた。

「令呪の恩恵とは、たいしたものだな」

 わずかな予断が命とりになる状況の中で、なおも黒騎士は傲然と見おろすように呟く。

「不完全な召喚で現界したサーヴァントを、ここまで劇的に強化することができるとは」
「勘違いするな。私を強くした力の正体は、令呪の効能だけではない」

 相手の感想を冷然と斬り捨てるやいなや、セイバーは剣の柄を握る両手に力をこめた。
 より鋭く、より重く。ただでさえ苛烈なセイバーの攻撃がやにわに威力を増していく。

「サーヴァントの能力の上限は、人々の支持によっても変化する。アーサー王が歴史に実在しないミッドチルダでは、この法則はあってないようなものかもしれないが、いまの私には志を同じくするクララがいてくれる。私にとっては万軍にも匹敵する心強い助勢だ」

 まるでセイバーの言葉を肯定するように、そのとき黄金の剣が燦然たる咆哮をあげた。
 正眼に構えて待ち受ける黒騎士めがけて、必殺必中の斬撃を流星群のように浴びせる。
 応じる黒騎士は千の手を持つ者のごとく、それらすべての攻撃を事もなげに受け流す。
 両者の剣戟は音速を超えて光速の域に迫りつつあるらしい。音が遅れて聞こえてくる。
 ほとばしる『魔力放出』は竜巻と化していた。周囲の瓦礫を軽石のように吹き飛ばす。
 その光景は、喩えるなら物理的な衝撃を伴う嵐だ。人間なら一秒も立っていられない。
 だがセイバーと黒騎士はびくともしなかった。互いに一歩も譲らず斬撃を交錯させる。
 交わされる剣戟が、一〇合、二〇合、三〇合、と次第に増えていく。にもかかわらず両者は無傷のままだ。有効打になりそうな攻撃は出だしで潰されてしまう。ことごとく無力化されるのだ。互いの戦法を知りすぎているほどに知っているがゆえの膠着状態だった。

「事ここに到って加減はいらない。もっと本気を出せ。乾坤一擲の覚悟で向かってこい」

 一ヶ月とも一年とも思われる長い拮抗を、やおら果敢に踏みこんだセイバーが崩した。
 袈裟懸けの斬撃を力のかぎりに振り下ろす。あっさりと防がれるが気にならなかった。
 もとより自分は奇策を得意とする戦士ではない。ならば積極的に前へ出て均衡を破る。
 むろん黒騎士は反撃してくるだろう。だが怯む必要はない。こちらはそんな隙を与えないほどの勢いで攻めまくればいいのだ。それが騎士の王道を邁進(まいしん)する自分の流儀だった。

「それでも最後は、私が絶対に勝つ。おまえの中の『この世すべて悪(アンリマユ)』を棄却(ききゃく)してやる」

 衰えをしらないセイバーの怒涛の連撃に、とうとう黒騎士が一歩ずつ後退をはじめた。
 無表情だった顔には当惑が浮いている。なぜ押し負けているのかわかっていない様子だ。
 切り崩すなら今が絶好の好機である。セイバーは吼えながら黄金の刀身を振りあげた。
 地すべり下段の斬撃が猛然と迫る。黒騎士は魔剣を縦に落として迎撃したが、すべての衝撃を殺すことはできなかった。剣の柄を握る両腕が弾かれた勢いで真上に跳ねあがる。
 その隙をセイバーは待っていた。無防備になった黒騎士の右頬を左の拳で殴りつける。

「ぐっ、貴様――」
「その陰鬱で不興気な顔を一度、おもいっきり殴ってみたかった。私の姿で現れてくれて感謝する」

 痛打を受けて後ろに蹌踉(そうろう)とよろめいた黒騎士に、セイバーは皮肉な口調で半畳を入れるように呟いた。十重(とえ)にまとわりついていた不快な粘着物が剥れたような清涼感を覚える。
 気分爽快だった。しかし修羅の場にそぐわない情動だったので口に出すのは控えたが。
 空の左手をふたたび宝剣の柄に添えると、セイバーは黄金の刀身を低く下段に構えた。
 遊びは終わりだ。そう言わんばかりの張りつめた闘気を全身に滾らせながら宣告する。

「もう手心を加えるつもりはない。負けたときの言いわけを考えるなら今しかないぞ」
「主従関係を超越した共生と共感。それが力の源か。ただの精神論なら鼻で一蹴していたところだが――」

 そこでおもむろに言葉を切った黒騎士が、セイバーに殴られた右頬を無造作に撫でる。
 するとそこにあった青痣が一瞬で治ってしまう。象牙の肌には染みひとつ存在しない。
 すさまじい速さの自己修復である。これでは大抵の傷が即座に治癒してしまうだろう。

「皮肉なことに納得せざるをえない逆説だ。なにせ私たちは尋常な存在ではないからな」

 黒騎士が興味なさそうな声音で無表情に呟いた。それから魔剣を大上段に振りかぶる。

「しかし勝負は五分ではない。貴様と私のあいだには決して埋まらない差が厳然とある」

 光の世界に反旗をひるがえすかのごとく、黒く凶々しい輝きが頻々(ひんぴん)と闇を呼び集める。
 王としても、人としても堕落した英雄の亡者が、ふたたび地獄の宝具を開帳したのだ。
 吹き荒れる風は幾万の怨嗟と呪詛めいて、この世ならぬ凄まじい咆哮をとどろかせる。

「兵器としての格は『勝利すべき黄金の剣(カリバーン)』より『約束された勝利の剣(エクスカリバー)』のほうが上だ」

 叫びとともに解き放たれた漆黒の閃光が、アスファルトの地面を砕きながら押し迫る。
 セイバーの脳裏に刹那、同じ手段で倒してきた強敵たちの、断末魔の様子が明滅した。
 彼らの身に起きた破滅が、すなわち自分の末路なのだ。そう考えると恐怖に眼が眩む。
 それに業腹だが黒騎士の言うとおりだった。武器としての性能も神秘も『約束された勝利の剣』のほうに分がある。正直な話『勝利すべき黄金の剣』で防ぐのは不可能に近い。
 よってセイバーに選べる手段は回避しかない。彼女は脇目も振らず真横に飛び退いた。
 だがここで思わぬ誤算が生じる。『この世すべて悪』から無限に魔力を供給される黒騎士の宝具攻撃は、本来の持ち主であるセイバーの認識を超える大威力になっていたのだ。
 そのためセイバーは直撃の憂き目こそ免れたものの、『約束された勝利の剣』の余波をもろに浴びる結果に。
 地に足がついていなかったことも災いした。衝撃に為す術なく吹き飛ばされてしまう。
 その顛末を黒騎士は予見していたようだった。転倒したセイバーに容赦なく迫撃する。
 セイバーはすぐに跳ね起きたが万全の態勢とは言えない。不安定のまま受け身になる。
 形勢は、一瞬で逆転した。
 さっきまで優位に立っていたセイバーが、今では黒騎士の猛攻に耐えるしか術がない。
 白銀の甲冑は敵の剣戟で疵だらけになり、その下の玲瓏な肌には汗とともに血が滲む。
 もはや反撃もままならない。このままでは押しきられてしまう。なんとかしなければ。
 そのとき下段から送られた強烈な斬撃が、剣の柄を握るセイバーの両腕を弾きあげた。
 バンザイのような恰好になったセイバーが眼を見開く。相手はこれを狙っていたのだ。
 焦りに駆られたセイバーは、慌てて剣を引き戻そうとする。だが黒騎士の魔剣の柄頭が先んじて、セイバーの白銀の胸当てを強打した。刺突ではなく殺傷力のない打撃を選んだ理由は、もちろん先ほど殴られた借りを返すためだろう。黒騎士なりの意趣返しだった。
 セイバーは痛みに悶絶して地面に転がる。心臓を鉄の杭で打たれたような衝撃だった。
 すぐに立ちあがらないと追い討ちに対処できない。それは素人にもわかる自明の帰趨であったが、体に受けたダメージは思いのほか大きかった。そのためセイバーは出遅れる。
 苦痛に身悶える彼女が起きるよりも早く、黒騎士が刎頚(ふんけい)の刃を振り下ろしていたのだ。
 魔剣の切っ先がアスファルトを真っ二つに断ち割る。同時に凄烈な金属音が反響した。

「……私にも移動の瞬間が見えなかった。令呪の強権発動による『空間転移』か」

 魔剣の切っ先を地面から引き抜きながら、黒騎士がゆっくりと周囲に目線を這わせる。
 やがて定められた視線の先にはクララがいた。令呪の数が二画から一画に減っている。
 その隣にはセイバーの姿も見られた。とっさにクララが「戻れ」と彼女の命じたのだろう。あるいは強く願ったのかもしれない。それを令呪が瞬間移動という形で叶えたのだ。
 でなければ今ごろセイバーの首は刎ねられていたろう。まさに間一髪の出来事だった。
 セイバーは呼気を整えて立ちあがる。続いてクララに軽く頭をさげながら礼を述べた。

「令呪の強権による空間転移とは考えましたね。おかげで助かりました。礼を言います」
「あ、あれは考えての行動じゃなく、偶然に発動しただけで――セイバーさん、前っ!」

 照れて言いわけのように応えたクララが、やおら表情をこわばらせつつ前方を指さす。
 むろん促されるまでもなくセイバーは危険を察知していた。苦い顔つきで正面を見る。
 黒騎士がみたび必滅の宝具を振りあげていたのだ。しかも今度はセイバーだけでなくクララまで射程内に入れている。
 黒騎士の力量と冷酷さをかんがみれば、クララを抱えて離脱する猶予はあるまい。かといってマスターを見捨てて自分だけ逃げるなど愚の骨頂である。そんなセイバーの心理を熟知した狡猾きわまる戦術だった。思わず噛みしめた奥歯が、ギリリと音をたてて軋む。

「貴様、よくもそんな人倫にもとる行為を平然と!」
「私が武器とするのは信義ではなく有用性だ。よく知っているだろう」

 黒騎士が膨大な魔力を刀身に束ねながら、塵のような無情の瞳でセイバーを睥睨する。

「傲慢と殉教。そして自己欺瞞。それがおまえの偽らざる本性だ。逃れられない宿業だ」
「そうかもしれない。たしかに私は、国の滅亡と対峙する気概もないままに選定の剣を岩から抜いた。自分の世界と理想しか見ようとせず、不都合なものには眼をそむけてきた」

 そう述懐したセイバーが宝剣を下段に構えて走りだす。白銀の疾風のごとく驀進する。
 逃げ道はない。防御する術もない。ならば真正面から突撃して力技で活路を切り拓く。
 それが自分の戦い方だった。窮地に立たされたときこそ自分と剣を信じて突き進んだ。
 負けられない。それ以上に逃げたくない。なぜなら相手は自分の弱さそのものだから。

「故国の仲間たちに謝りたい。私は、おまえたちが望むような王にはなれなかった、と」
「意味のない謝罪だ。どうせ聖杯を手に入れたら過去の失態を修正するつもりだろうに」

 黒騎士が冷めた言い方で指摘する。セイバーにとっては宝具よりも痛烈な一撃だった。

「私たちは人の気持ちがわからない。ただ勝つために戦い続けることしかできないのだ」

 そして死の宣告に等しい宝具が振り下ろされた。黒い魔剣から闇の奔流がほとばしる。
 突進するセイバーの目路を深淵が覆う。解き放たれた『約束された勝利の剣』の極光は、世界を灰燼に帰す炎から生じる黒煙のようだった。その灼熱の衝撃に呑みこまれれば五体満足ではいられない。総身は灰も残らないだろう。間違いなく最大出力の攻撃だった。
 セイバーは恐怖と絶望の軋轢に胸が苦しくなる。だが前に繰りだす足は止めなかった。
 退避はしない。この双肩に担ったものを思うなら、ここで退くわけにはいかなかった。
 疾走の速度は落とさないままに、彼女は剣の切っ先を正眼に据える。突き技の構えだ。

「おまえの言うとおりだ。私は戦うことしかできない。他人の気持ちにも盲目だった」

 人の心は一枚岩ではない。個性と同じである。人の願望は千差万別でとりとめがない。
 わかっていて当然のことだ。しかしセイバーは人の領分を超えて無謬であろうとした。
 だから履き違えたのだ。臣下と民の考えを。なにより自分が本当に望んでいたことを。
 宝剣に誓って護りたかったのは理想ではない。故国に住まう者たちの笑顔だったのだ。
 それを今、クララを、はやてたちを救うことで報いたい。そう思うのは勝手だろうか。

『なぜ――』

 ふと、懐かしい声を聞いたような気がした。

『なぜそう思うのですか?』

 どうせ幻聴の類だろう。そう弁えながらもセイバーは、気がつけば声に反応していた。

「ランスロット、朋友(とも)よ。私は愚かだった。あなたたちの望みを知ろうともしなかった」
『わたしが、わたしたちが望んだのは、あなた自身です。おのれを信じてまっすぐに、迷わず、疑わず、わたしたちを率いて戦う、あなたの背中です。気高く壮麗な王の姿です』

 ランスロットの声が頭の中に響く。穏やかに破顔するさまが見えるような口調だった。
 セイバーを憎んでいるはずなのに、呪っているはずなのに、そんな片鱗は微塵もない。

『ずっと見ています。倒れても、汚れても、弓折れ矢尽きても、不屈の闘志で何度も何度も立ちあがる、あなたの姿を。唯一無二の朋友(とも)の生き様を。この眼でしかと見届けます』

 眼前に『約束された勝利の剣』の黒い光が迫る。まるで巨大な怪物の口腔さながらだ。
 こんな恐ろしい脅威にさらされたことは、どれだけ過去をさかのぼっても類をみない。
 恐怖に肺腑が凍りそうだ。セイバーは覇気を維持するため宝剣の柄を強く握りしめた。

「叶うなら今一度だけ、あなたと(くつわ)を並べたい。ランスロットよ、朋友よ、あなたの力を化してくれ。かつてのように私と一緒に戦おう。力を合わせて眼の前の敵を打倒しよう」

 だがランスロットは『いいえ』と返事をした。寂しそうな感情が伝わってくる声色だ。

『王よ。その役目はもう、私ではありません』

 唐突に。
 セイバーは夢のような対話から豁然(かつぜん)と目覚めた。より現実的な音が耳朶を打ったのだ。

「セイバーさん!」

 それはクララの声だった。わなないて聞こえるのは涙をこらえているからに違いない。
 少女は令呪の最後の一画を使おうとしていた。掲げた左手の拳が赤く赤く輝いている。
 セイバーは胸が熱くなった。ランスロットの言葉が温かい水さながら心に沁みてくる。
 王たる者は孤高であるしかない。そう自分に言い聞かせながら乱世を駆け抜けてきた。
 誰かの背中を支えることはあっても、その逆は一生涯ないと思いこんでいた。が――
 セイバーは孤独ではなかった。これまで自分が気づかなかっただけで本当は、いろいろな人たちの手に支えられてきたのだ。事実、今もこうしてクララの手に支えられている。
 ――ああ、そうか。いまごろになって気がつくとは、やはり私は不甲斐ない王だった。
 私にもあったのだ。かの征服王にも負けない『絆』というやつが。私にもあったのだ。
 絶壁を思わせる黒い光と対峙するセイバーは、声にならない声で叫びつつ右足を前に繰りだす。その新たな一歩は、今日まで繰り返されてきたそれよりも、力強い一歩だった。
 ――行け。

「倒せぇぇぇぇぇぇッ!」

 クララが天まで届けとばかりに声を張りあげて叫んだ。同時に令呪の最後の一画が、凄まじい光の爆発を起こす。あたかもクララの情動がそのまま光となって溢れだしたようだ。そして最後に残った聖痕は、秘蹟たる魔力を飛散させて、渦巻く風を生んで消滅する。
 次の瞬間。
 令呪の恩恵を受けて黄金の魔力に包まれたセイバーが一条の閃光と化す。破滅の具現たる『約束された勝利の剣』の黒い波濤を、まるで厚布のように真ん中から左右に切り開いていく。我が身を黄金の剣と為したセイバーが、黒騎士めがけて彗星のごとく直進する。
 おのが過去に縛られた英雄はもういない。いるのは苛烈にして清浄な一騎の勇姿のみ。
 ただ鮮烈に、ひたすら勇壮に。手に執る奇蹟の真名を謳う、常勝の王の威容だけだった。

「勝利すべき黄金の剣ッ!」

 彼我の間合いを一気に詰めたセイバーが、黒騎士の左胸に宝具の切っ先を突き入れる。
 そのとき周囲一帯の景色がまとめて吹き飛んだ。世界が白一色に塗り替えられていく。
 まるで地上に太陽が堕ちたような閃光だった。あまりの眩しさに眼が潰れそうである。
 光が終息すると、次は黙示が訪れた。黒騎士が観念したかのように粛然と佇んでいる。その心臓は黄金の切っ先に貫かれていた。いくらサーヴァントと言えでも致命傷である。

「……れた……か」

 左胸に突き刺さった刀身を見つめながら、黒騎士がおもむろに掠れた声でささやいた。

「少しは気が晴れたか?」

 その口調に悪びれた風情はない。今際のきわにありながら、たいした鉄面皮といえる。
 もっともセイバーにしてみれば不愉快きわまりない反応だった。自然と柳眉があがる。

「それはこちらの台詞だ」

 セイバーが憮然と相槌を打つ。すると黒騎士は「それもそうだな」と忌憚なく頷いた。
 やがて光を真似る影のごとき黒騎士の体が消滅する。最後に相手は口元をゆがめて笑みめいたものを覗かせたが、それが本当に笑顔だったのかセイバーには判断できなかった。


 

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HN:
イヒダリ彰人
性別:
男性
趣味:
立ち読み、小説を書くこと
自己紹介:

イヒダリ彰人(あきひと)。
北海道に棲息する素人もの書き。
逃げ足はメタルスライムよりも速い。
でも執筆速度はカメのように遅い。
筆力が上がる魔法があればいいと常々思ってる。
目標は『見える、聞こえる、触れられる』小説を描くこと。

《尊敬する作家》
吉田直さん、久美沙織さん、冲方丁さん、渡瀬草一郎さん

《なのは属性》
知らないうちに『アリすず』に染まっていました。
でも最近は『八神家の人たち』も気になっています。
なにげにザフィーラの書きやすさは異常。
『燃え』と『萌え』をこよなく愛してます。

《ブログについて》
魔法少女リリカルなのはの二次創作小説を中心に掲載するサイト。
イヒダリ彰人の妄想をただひたすらに書きつらねていきます。
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