イヒダリの魔導書
魔法少女リリカルなのはEine Familie 第五話 『闇の正体』(5)
魔法少女リリカルなのはEine Familie 第五話 『闇の正体』(5)を更新。
ガンダム00セカンドシーズン 第十五話を観ました。
マスラオがトランザムに覚醒しましたね。
なんとなく予想はしてたけど。
あと今さらだけど、マリナ・イスマイールに惹かれてきた。
あの薄幸そうな尼僧みたい感じがいい。
きっと願望とかあっても、みんな自分の中に閉じ込めてしまうタイプだ。
彼女にはぜひ、もう一波乱あってほしい。
まあ、もう一波乱あるのはサジかもしれないけど……
はやての意中に、もはや驚愕はない。畏怖も混乱もなかった。
夜天の王の
暗鬱に耽ってなどいられない。はやてが二の足を踏めば踏むだけ、
はやては誓ったのだ。ひとりでも多くの人間を助けると。もしここで怖気づき、その結果、彼らを助けることができなかったら……この胸の怒りも、おのれの正義を信じる心も、すべてが嘘偽りと化してしまう。ゆえにこそ、はやてに逡巡の余地はなかった。
はやては、グレアムの腕の中から抜け出すと、不動の決意で鋭く輝く眼光を彼に向けた。
「……グレアムおじさん。わたし、帰ります。海鳴師に」
海鳴市へ――戦場へ帰還する。そして闇の書の闇と対峙し、みんなを助けだす。
慎重さを欠くのは認めよう。軽率の
これは、最後の闇の書の主である自分の戦いであり、また避けれは通れない義務だからだ。
そんな少女の決意表明に、しかし声を荒げて反発したのは双子の姉妹だった。
「なっ、本気なの!? あんなの絶対、罠に決まってるよ!」
「わたしも、ロッテと同じ意見。罠だと判ってて飛びこむなんて、いくらなんでも無謀だよ」
リーゼロッテとリーゼアリアの叱責は、ひとえにはやてを心配してのものだ。
はやても薄情ではない。リーゼロッテとリーゼアリアの気持ちは、素直に嬉しかった。
だがそれでも、選択肢の変更はありえない。はやては頑としてかぶりを振った。
「罠だとしても、わたしは彼らを助けにいきます。そうする義務が、わたしにはあるから」
「そんな義務なんてないよ! だってあいつら、はやてちゃんを問答無用で拘束しようとしてた連中だよ! 助ける価値なんてないじゃない!」
まったく聞き分ける様子のないはやてに、リーゼロッテが気色ばんで叫んだ。
リーゼロッテもリーゼアリアも、はやてを助けた際に、現在の管理局の卑劣さを目の当たりにしている。そして彼らと数分ながらも
無実の人間を――それも仲間であるはずの八神はやてを――不当な
リーゼロッテの叩きつけるような剣幕に、だがはやては毅然とかぶりを振って応じた。
「助ける価値があるとかないとか、そんなのは関係ありません。わたしは時空管理局の捜査官なんです。だから行くんです。自分の為すべきことを為すために」
「でも!」
「よしなさい、ロッテ」
なおも激しく言い募るリーゼロッテを、グレアムが窘めた。その声音には有無を言わせぬ迫力があり、烈火のごとき怒りようだったリーゼロッテを、ただの一声で封殺した。
リーゼロッテが鼻白んだように沈黙する。が、すぐに不機嫌そうに目を眇めると、わがままな子供のようにむくれてしまう。こうなるとリーゼロッテの機嫌は、なかなか直らない。
不平もあらわなリーゼロッテに、グレアムは苦笑していた。しかし、その笑みはたちまち厳かな表情へと変わり、彼はリーゼロッテに向けていた視線をリーゼアリアの方へ滑らせる。
「アリア。おまえの転送魔法なら一瞬で、はやてくんを海鳴市に送還できるはずだ。
――彼女を送ってあげなさい」
「父さま……でも」
リーゼアリアにしては歯切れの悪い返答だった。どうやら彼女も、はやての言い分に納得しているわけではないらしい。下唇を噛みしめ、やり場のない不満に憤っている。
対してグレアムはむぅ、と唸り声をひとつ漏らす。それから何かを考えこむように口元に手を添える。しばらくのあいだ沈黙が続き……やがてグレアムが重々しく口を開いた。
「困っている人を助けたい。傷ついた人を癒してあげたい。管理局を引退して二年が経つとはいえ、その気持ちは今も錆びついていないはずだ。そうだろう?」
「そう、ですけど」
口ごもりながら賛意するリーゼアリア。グレアムは畳みかけるように説得を続ける。
「なら私たちも協力してあげないか? 苦しんでいる彼らを救うために」
リーゼロッテとリーゼアリアが苦りきった渋面を見合わせた。不機嫌そうな姉妹のあいだで今、どのような会話が交わされているのか。むろん見守るはやてには想像の埒外である。
だが四の五の言っても、リーゼロッテとリーゼアリアのグレアムに対する信任は揺るぎないものがあったらしい。まもなく双子の姉妹は、根負けするような形で首肯した。
はやての顔に笑みが広がっていく。これで心置きなく迅速に、海鳴市へ帰ることができる。だがそれ以上に、リーゼロッテとリーゼアリアの賛同を得られて嬉しかった。
「リーゼロッテさん、リーゼアリアさん。ありがとうございます」
見事な笑顔を浮かべたまま、はやては凄まじい勢いで頭を下げた。
一方、リーゼロッテとリーゼアリアは居心地が悪そうだった。どうやら本音の部分では、まだ不承知の念が強いらしい。が、はやてがあまりに嬉しそうなので複雑な思いなのだろう。
「とりあえず表に出よう。室内で魔法を使われても困るのでね」
そんな双子の姉妹の様子に苦笑していたグレアムが、ドアの方に視線を向けながら呟いた。
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プロフィール
イヒダリ彰人(あきひと)。
北海道に棲息する素人もの書き。
逃げ足はメタルスライムよりも速い。
でも執筆速度はカメのように遅い。
筆力が上がる魔法があればいいと常々思ってる。
目標は『見える、聞こえる、触れられる』小説を描くこと。
《尊敬する作家》
吉田直さん、久美沙織さん、冲方丁さん、渡瀬草一郎さん
《なのは属性》
知らないうちに『アリすず』に染まっていました。
でも最近は『八神家の人たち』も気になっています。
なにげにザフィーラの書きやすさは異常。
『燃え』と『萌え』をこよなく愛してます。
《ブログについて》
魔法少女リリカルなのはの二次創作小説を中心に掲載するサイト。
イヒダリ彰人の妄想をただひたすらに書きつらねていきます。
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