イヒダリの魔導書
『まよチキ!』の一巻を読みました
テレビアニメ化するらしいので、興味をそそられて読んでみました。
序盤こそ「う~ん……」と首を捻る展開が続きましたが、さすがは第5回MF文庫Jライトノベル新人賞の最優秀作品。
最後はそつなくまとまっていて充分に楽しめました。
以下、このライトノベルの『良かった点』と『悪かった点』です。
【悪かった点】
1.ツッコミ属性の主人公が、喧嘩の強いヒロインの理不尽な暴力に脅かされるという、類型的なネタに終始する序盤。
たとえば――
偶然にもヒロインの秘密を知ってしまった主人公 → ヒロイン「わたしの秘密を知ったものは生かしておけない」と襲いかかってくる → 主人公「そんなバカな」と全力でツッコミ → ふたりでドタバタする → 紆余曲折あったのちに誤解が解けて仲良しに。
――みたいな感じです。
なかばテンプレ化しているネタなので、おそらく誰でも思いつくし誰でも書ける。
もし同じタイプの小説を書いたら、イヒダリだって、このネタを使用したかもしれない。
そういう意味で序盤の展開は自己嫌悪の雨あられ。読み進めるのが非常に苦痛だった。
このネタはライトノベルの悪しき風習だと思う。
2.一人称の視点の文体。
誤解を生まないように、はじめに断っておきます。
イヒダリは別に一人称の文体が嫌いなわけではありません。
ただエロゲーが趣味でエロゲー歴がむやみに長いイヒダリは、一人称の視点で語られる文章を見ると、どうしてもアドベンチャーゲームのテキストを想起してしまう。
なのでストーリーの進行は一人称でなく、できれば三人称の視点で書いてほしかった。
はなはだしく個人的な見解ですが。
【良かった点】
1.読みやすい文章。
新人とは思えないほど、無駄のない文章で驚いた。
常用外の漢字も使っていないのでスラスラ読めます。
キャラの設定と言動が悪い意味でライトノベル的なら、文章のほうは良い意味でライトノベル的だったと思う。
きっと読者のことを考えて、丁寧に推敲したんだろうなあ。
2.堅実なストーリー展開。
序盤(70ページくらいまで)はテンプレすぎて心が折れそうになったものの――
しかし中盤以降は作品の個性が徐々に出てきて楽しくなってきます。
最初は鼻についたヒロインが、読み進めるうちに慣れてきたのか、どんどん魅力的に思えてくるし。
容姿も学力も申し分ない完璧最強のヒロインが、じつは世間知らずの箱入り娘だった――というのは、なるほど守ってやりたくなる『萌えキャラ』だ。
アニメ化が決定したのも納得です。
――以上で感想は終わりです。
結局は良くも悪くも最近のライトノベルって感じ。
一人称の文体が気にならず、なおかつテンプレ設定に飽食していない人なら、十分に楽しめる内容でしょう。
ただ読もうか読むまいか迷っている人は、思いきって読んでみるといいかもしれない。
たぶん慮外に楽しめます。
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プロフィール
イヒダリ彰人(あきひと)。
北海道に棲息する素人もの書き。
逃げ足はメタルスライムよりも速い。
でも執筆速度はカメのように遅い。
筆力が上がる魔法があればいいと常々思ってる。
目標は『見える、聞こえる、触れられる』小説を描くこと。
《尊敬する作家》
吉田直さん、久美沙織さん、冲方丁さん、渡瀬草一郎さん
《なのは属性》
知らないうちに『アリすず』に染まっていました。
でも最近は『八神家の人たち』も気になっています。
なにげにザフィーラの書きやすさは異常。
『燃え』と『萌え』をこよなく愛してます。
《ブログについて》
魔法少女リリカルなのはの二次創作小説を中心に掲載するサイト。
イヒダリ彰人の妄想をただひたすらに書きつらねていきます。
もちろん無断転載は厳禁。
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