イヒダリの魔導書
ヤガミケ!? 第七話『白銀の八神家』
ひさしぶりに短編SSを更新。
登場人物は八神家(はやて、シグナム、ヴィータ、シャマル、ザフィーラ、リインフォースⅡ)の六人。
ジャンルはいちおうギャグになります。
そして今回はギャグという点とテンポを考慮した結果、SSの文体を実験的に、アドベンチャーゲームのテキストみたいにしています。
あと登場人物たちの人格が壊れ気味です。唯一まともなのはヴィータくらいかな?
かなり頭が悪い話ですが、少しでも笑っていただければ、イヒダリも嬉しく思います。
新暦65年。海鳴市を舞台に繰り広げられた『闇の書事件』が終結。
その後に管理局から保護観察を受けた『八神はやて』と『ヴォルケンリッター』たち。
多くの罪を犯してしまった彼女たちは、その償いのために『あること』を決意する。
それは世のため人のため、社会に対して『無償奉公』をすることであった。
そして今ここに――八神家の面々による粉骨砕身のボランティア活動がはじまる。
第七話(?)『白銀の八神家』
はやて「はや季節は、もう冬やね。てなわけで今日は雪合戦をしようと思う」
リインⅡ「雪合戦? 雪合戦ってなんですか?」
はやて「雪合戦っていうのはな、大小の雪玉を使って人形を作る遊びのことや」
ヴィータ「それは雪だるまだろ。ぜんぜん違うじゃねえか。だいいち今日は雪なんか降ってないじゃん」
はやて「ヴィータ、あんたの目は節穴か? まわりをよく見てみ。こんなに積もってるやないか」
ヴィータ「うお! ほ、ほんとだ。いったいどんなご都合主義だよ」
はやて「ではさっそく雪合戦をはじめる。街中の雪をフルに使って、ド派手にやろう」
シャマル「残念だけど、わたしはパス。いまは雪を食べるのに忙しいの」
ヴィータ「雪なんか食べるなよ。腹こわすぞ」
ザフィーラ「こっちはそんなシャマルを横から眺めるのに忙しい」
ヴィータ「変態かよ」
ザフィーラ「変態ではない。恋する獣だ」
ヴィータ「き、きめぇ。その恋は絶対に報われないな」
ザフィーラ「人間と獣の報われぬ恋。まるでロミオとジュリエットだな」
ヴィータ「それを言うなら美女と野獣だろ。ていうか例えにもなってないぞ」
シャマル「女医」
ヴィータ「いきなりなんだよ」
ザフィーラ「イノセント・ラブ」
ヴィータ「しりとりを始めやがった……」
シグナム「この愚か者め。背中が隙だらけだぞ。――死ねええええッ!」
ヴィータ「あ、危ねえ! いきなり斬りつけてくんなよ!」
シグナム「雪合戦はすでに始まっている。無防備な姿を見せるおまえが悪い」
ヴィータ「……シグナムさ、雪合戦がどういう遊びなのか知らないだろ?」
シグナム「馬鹿にするな。雪合戦とは『雪上でおこなわれる殺し合い』のことだろう? グーグルさんに抜かりはない」
ヴィータ「謝れよ! いますぐグーグルさんに謝れよ!」
はやて「はっはっはっは。いきなりですが空の上からこんにちは」
リインⅡ「右に同じく。空の上からこんにちは、です」
ヴィータ「ほんとに突然だな。今までどこに行ってたんだよ?」
はやて「そんなことはどうでもよろしい。それよりも見よ、この雪玉の威容を!」
ヴィータ「なんじゃそりゃ。家よりも大きいじゃねぇか。そんな大量の雪、どこで集めてきたんだ?」
はやて「冒頭で言ったやろ。街中の雪をフルに使うってな」
リインⅡ「リインもたくさんお手伝いしましたですよ。フリーレンフェッセルンの応用で楽勝でした」
ヴィータ「なにが『楽勝でした』だよ。余計なことすんな、このバカ!」
リインⅡ「ガガーン。は、はやてちゃ~ん。ヴィータちゃんが、『はやてちゃん』のことをバカって言ったです。チビって言ったです。ついでに妖怪『おじさん趣味・加齢臭が大好き』って言ってたですぅ」
はやて「な、なんと! ヴィータ、それは本当か?」
ヴィータ「い、言ってねえよ! ――てめえ、リイン!」
リインⅡ「はやてちゃ~ん、ヴィータちゃんが責任転嫁するつもりです。ひどいですぅ、理不尽ですぅ」
はやて「わたしに対する悪口雑言だけでは飽き足らず、末っ子のリインにもそんな悪魔的な仕打ちを……ゆ、許さん。許さんよ、ヴィータ。もはや肉片ひとつも残さへん!」
リインⅡ「……ニヤリ」
ヴィータ「笑った。いま隣の奴がいやらしく笑いましたよ!」
リインⅡ「ひいいいん。はやてちゃ~ん」
はやて「一度ならず二度までも。あんたの血は何色やあああ!」
ヴィータ「あたしの話も聞けよ!」
はやて「もう容赦はせえへん。わたしの全力全開で、ヴィータ、あんたを地獄に送る。響け終焉の笛――」
ヴィータ「お、おい。マジかよ」
シグナム「あれはマジだな。もはやどうしようもない。さらばだ、ヴィータ」
シャマル「でも安心してちょうだい。骨はちゃんと拾ってあげるから」
ザフィーラ「そしてその骨で『とっておいで~』をするわけですね。わかります、はい」
ヴィータ「おまえら、状況がよくわかってないようだな。あれを喰らったら、あたしたち全員が、お陀仏なんだぞ。自分は関係ないみたいな顔をしてる場合じゃないだろ」
シグナム「落ちつけヴィータ。私たちは『守護騎士プログラム』だ。たとえ致命傷を負ったとしても、リンカーコアさえ無事なら、この実体はいくらでも再生可能――」
ヴィータ「無理だぞ。あたしたちは闇の書から切り離された時点で、その頼みのプログラムとも乖離しているんだ。いまは普通の人間と変わらない。命はひとつだ」
シグナム「そんなバカな! 主はやて、やめてください。私には結婚(そういう所帯じみたものに最近あこがれている)を前提にお付き合いしている殿方(べつに男性でなくてもかまわないが)がいるんですよ!」
ヴィータ「ぜんぜん命ごいになってねえぞ。しかもウソしか言ってないし。助かる気があるのか?」
シャマル「だったらザフィーラを盾にしましょうよ。わたしにホレているこの獣なら、喜んで犠牲になってくれるわ。ね、ザフィーラ?」
ザフィーラ「盾の守護獣は、現在休業中だ。自分の命に比べたら愛なんてゴミだぜ!」
シャマル「調子こいてんじゃないわよ、この汚らわしい犬野郎がッ! ストンピング、ストンピング、ストンピング!」
ザフィーラ「ああ、痛い。でも悔しい、感じちゃう」
ヴィータ「こんな奴らと心中するなんて絶対に嫌だあああッ!」
はやて「みんな揃ってあの世に行け! ――ラグナロク(超巨大雪玉バージョン)!」
ヴォルケンリッターたち「ひいいい」
こうして八神家は、大量の雪に埋もれた。ちょうど白い球にすっぽりと覆われる形で。
その見た目は例えるなら『かまくら』にそっくりだった。しかも一軒家より大きな。
街中に突如として現れた雪の家。どうあっても人々の注目は避けられない出来事だ。
その奇怪なニュースは海鳴市だけでなく、話題に飢えた周囲の都道府県にまで拡がる。
八神家は海鳴市の観光スポットとして、たちまち、その存在を日本全国に認知されてしまう。
予想もしない展開だったが、結果として八神家の面々が起こした諍いは、地域活性化に一役買ったのだ。
まさに結果オーライ。ヴォルケンリッターたちの犠牲も無駄ではなかったのである。
ヴィータ「なにが結果オーライだ。あたしたちは誰も死んでねえよ」
リインフォースⅡ「ちっ、まだくたばってなかったんですか。しぶといですね」
ヴィータ「リイン!」
リインフォース「うわあああん、はやてちゃ~ん」
八神家の奉仕活動は、まだまだ終わらない。
第七話『雪祭りだよ八神家』
終わり。
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プロフィール
イヒダリ彰人(あきひと)。
北海道に棲息する素人もの書き。
逃げ足はメタルスライムよりも速い。
でも執筆速度はカメのように遅い。
筆力が上がる魔法があればいいと常々思ってる。
目標は『見える、聞こえる、触れられる』小説を描くこと。
《尊敬する作家》
吉田直さん、久美沙織さん、冲方丁さん、渡瀬草一郎さん
《なのは属性》
知らないうちに『アリすず』に染まっていました。
でも最近は『八神家の人たち』も気になっています。
なにげにザフィーラの書きやすさは異常。
『燃え』と『萌え』をこよなく愛してます。
《ブログについて》
魔法少女リリカルなのはの二次創作小説を中心に掲載するサイト。
イヒダリ彰人の妄想をただひたすらに書きつらねていきます。
もちろん無断転載は厳禁。
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