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『きっと、澄みわたる朝色よりも、』の感想

 大勢のシナリオライターの中でも筆力に定評がある(?)「朱門優」さんの作品。
 2009年に「propeller」から発売されたPCゲームです。

 作品のテーマは「人間の優しさ。そして絆の在り方」かな?
 理不尽な運命に巻きこまれて『』にされてしまった少女の心を救う物語です。
 シナリオライターは自身のブログで、「これは“ひよゲー”なんだよ!」と言っていましたが、いざ箱を開いてみると「ひよにしかエロがない(しかも一回だけ)ゲーム」で、実質は「“若”を攻略するゲーム」だったという……
 意表を衝いた、と言えば聞こえはいいかもしれませんが、ただ購入者を謀っただけ。
 このへんが賛否両論ある原因なんだろうなあ、とプレイしながら思いました。

 このゲームをプレイして圧巻だと思ったのは、その物語を土台から支える設定の作りこみです。
 とくに登場人物たちの名前の意味、その由来を知ったときは、なんか「負けた」気分になりました。
 名は体を表わす――
 なんて言葉があるように、作中に登場するキャラクターの名前には、多かれ少なかれ作者の「想い」や「願い」が込められていますが、朱門さんはそれを驚くべきレベルで体現しています。
 登場キャラクターの名前だけで不覚にも感動を覚えたのは、この「きっと、澄みわたる朝色よりも、」がはじめてだった。

 各所で散々な言われようだったシナリオも、あまり「期待ハズレ」感はありませんでした。
 むしろ思ったよりも楽しかったです。
 終わり方も綺麗だったので好感が持てました。

 ただ――
 作中のテキストのくどさは最後まで受け入れられなかったです。
 とにかく理屈っぽい。
 その一言につきます。
 もっともシナリオライターもそれなりに自覚があるらしく、なんとか読み手にわかってもらおうと詳しく説明しているんですが、それがなおさら鬱陶しさを助長している始末。
 朱門さんの文章による人物や背景の描写も、語彙の豊富なライターらしからぬ陳腐なものばかりで、テキストを目で追っていても斬新な驚きはなかったです。

 あと主人公のくだらない雑学にも辟易しました。
 これが芸術(物語の舞台が芸術を勉強する学校なので)に関するウンチクだったら許せたんですが、主人公の口から奔流のごとく溢れだすのは雑学以外のなにものでもなく……
 必死になって覚えた知識を開陳するのは構わないけど、披露する雑学は物語にふさわしいものを選ぶべきだった。

 てなわけで良かった点と悪かった点を思うままに書き殴ってみました。
 続いては作中のシーンを適当にピックアップしていきたいと思うのですが……
 正直ネタバレになるので隠しておきます。
 ネタバレが気にならない人だけ先に進んでください。
 あとは自己責任でお願いします。
 

 まずはタイトル画面の紹介。

5efe5097.JPG







 美麗CGですね。
 イヒダリは、このタイトル画面で、やられました。
 では物語の導入部を紹介。

75c01181.JPG










 主人公には幼いころ、仲の良い友達がいた。
 家庭の事情で離れ離れになってしまったが、再会できる日を楽しみに今日まで生きてきた。
 しかし世の中は甘くない。
 再会した仲間は、変わっていたのだ。

79a26aa5.JPG








 こんな感じで見事に打ちのめされる主人公。
 m9(^Д^)プギャー
 しかし紆余曲折を経た結果。

6356956a.JPG








 ヒロインのアララギと恋人同士に!
 よかったね。
 とはいえ勝者がいれば当然ながら敗者もいるわけで……

78245a13.JPG








 せ、切ない。
 でもイヒダリは、このシーンは作中でも屈指の名場面だと思う。
 胸に迫るものがありました。
 しかし。
 この切なくも感動的なワンシーンをぶちこわす不届き者が。

b29d55fb.JPG








 それが彼女(若)。
 彼女のせいで主人公は過去の出来事を再度やりなおす羽目に。
 しかもこれまでの記憶を消去された状態で。
 まさしくスゴロクで言うところのスタート地点に戻る、です。
 そして物語の第二章がはじまります。

 この第二章は「起承転結」で言うところの「承」の部分です。
 ここから物語は急展開を迎えます。

87499ce5.JPG








 担任の先生が倒れたり。

f2160c94.JPG








 言いがかりをつけられて責められたり。

5e2c2467.JPG








 親友同士のふたりが喧嘩したりします。
 もちろんすべての原因は彼女です。

c674c9a6.JPG








 ここから物語は第三章。
 そして最終章(エンディング)に続くわけですが……
 残念ながら画像での紹介はここまでにします。
 先が気になる方はゲームを買ってください。
 きっと思った以上に楽しめると思います。
 それでは。
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イヒダリ彰人
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男性
趣味:
立ち読み、小説を書くこと
自己紹介:

イヒダリ彰人(あきひと)。
北海道に棲息する素人もの書き。
逃げ足はメタルスライムよりも速い。
でも執筆速度はカメのように遅い。
筆力が上がる魔法があればいいと常々思ってる。
目標は『見える、聞こえる、触れられる』小説を描くこと。

《尊敬する作家》
吉田直さん、久美沙織さん、冲方丁さん、渡瀬草一郎さん

《なのは属性》
知らないうちに『アリすず』に染まっていました。
でも最近は『八神家の人たち』も気になっています。
なにげにザフィーラの書きやすさは異常。
『燃え』と『萌え』をこよなく愛してます。

《ブログについて》
魔法少女リリカルなのはの二次創作小説を中心に掲載するサイト。
イヒダリ彰人の妄想をただひたすらに書きつらねていきます。
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