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ヤガミケ!? 第三話(?)

 恒例の適当SSの時間がやってまいりました。
 内容はとても痛いことになっているので、読了後の偏頭痛には、ぐれぐれもご注意を。
 ていうか、これを最後まで読め人はいないだろう……

 本当は昨日の夜に更新しようと思っていたのですが、急用ができてダメでした。
 その急用というのが、友人宅で「とある科学の超電磁砲」の一話を観るという。
 平日の夜中になにしてんだか。(苦笑)
 まあ、肝心のアニメは思いのほか楽しめました。
 物語の主役に女の子(名前は忘れた)を据えて、いったいどんな話を展開していくのか、気になる内容ではありました。もっとも、視聴を続けるかどうかはわかりませんが。

 しかしあれですな。
 主役の女の子の能力(雷を操る?)よりも、もうひとりの女の子の能力(テレポート)のほうが、便利そうだし強いような気がしました。……あくまで気がしただけですが。

 ついでに「しゅごキャラ!! どきっ」の最終回も観てきました。
 楽しかったです。それにけっこう感動しました。
 やっぱり、しゅごキャラは最高ですね。
 いろいろ勉強させてもらいました。
 おもにキャラ萌え……とか? なんでこんなに自信ないんだ?(苦笑)
 


 新暦65年。海鳴市を舞台に繰り広げられた『闇の書事件』が終結。
 その後に管理局から保護観察を受けた『八神はやて』と『ヴォルケンリッター』たち。
 多くの罪を犯してしまった彼女たちは、その償いのために『あること』を決意する。
 それは世のため人のため、社会に対して『無償奉公』をすることであった。
 そして今ここに――八神家の面々による粉骨砕身のボランティア活動がはじまる。


 第三話(?)『はりきる八神家』


 ヴィータの燃えるような三つ編みの赤い髪が涼やかな風にたなびく。
 八神家の面々は、海鳴市のどこかにある川原に来ていた。

「今日、ここまで来てもらったのには理由がある」

 八神家の家長――八神はやてが誇らしげに口火を切った。

「町内会の回覧板に載っていた『川を汚すゴミの問題』を解決するためや」
「なるほど。川を清潔にして海鳴市の自然を守ろうと。そういうわけですね」

 物分かりの良さを見せつけるように相槌を打ったのはシグナムだ。

「この活躍が認められれば市長に感謝状をもらえるかもしれないな」
「そうなったら地に堕ちた八神家の信用も回復するに違いないです~」

 リインフォースⅡが陶然と夢見るような口調でシグナムの言葉に続いた。
 端で見守るヴィータも無言のまま首肯する。これはたいへん珍しいこと。
 八神家のメンバーに気合が入るのも当たり前だった。
 これは過去に幾度となく積み重ねてきた汚名をそそぐ絶好のチャンスなのだから。
 ヴィータが全員分のゴミ袋を甲斐甲斐しく用意しているときだった。
 ふいにザフィーラ(人間モード)が喋りはじめる。

「ちまちま川のゴミを拾っていくよりも、それを捨てていく輩を処刑したほうがよくないか? 幸い、我々には魔法という殺戮に便利な不思議パワーがあるわけだし」

 ヴィータは耳を疑った。
 この犬っころが。
 また頭の悪い提案をさらりと言いやがって。
 あたし以外の全員が、こぞって賛成するじゃないか。
 ヴィータは目くじらを立ててザフィーラを睨みつけた。
 すると今度は、チューインガムを噛んでいたシャマルが口を挟む。

「それよりも、くっちゃくっちゃ、無能な市長を暗殺して、くっちゃくっちゃ、はやてちゃんを市長に仕立てたほうが、くっちゃくっちゃ、世のため人のためじゃないかしら」

 シャマルの発言も頭が悪かった。
 真面目そうな顔をしているくせに、どいつもこいつもイカレた思考回路の持ち主だ。
 たぶんこいつらは「世のため人のため」という言葉を歪んだ形で了解しているのだろう。
 ヴィータは溜息をついた。いつものことだが今日は一段と呆れ返ってしまう。
 こいつらは一度、死んで生まれ変わったほうがいいのかもしれない。

「おい、おまえら。無駄口ばかり叩いてないで、さっさとはじめろよ。日が暮れるぞ」
「それもそうだな。じゃあさっそくゴミ拾い大会を開始するか――」

 ヴィータに応じたシグナムの声が唐突に途切れた。その体はわなわなと震えている。

「ザフィーラ、貴様なにをしている!」
「見てわからないのか? 立ちションだ。しかし自然の中で致すのは本当に清々しいな」

 ザフィーラを下半身をあらわにして文字どおりの行為にふけっていた。
 しかも、これから掃除をすると宣誓したばかりの川に、である。
 シグナムがレヴァンティンをセットアップした。同時にバリアジャケット姿になる。

「獣の分際で人間さまの土地を汚すとは。貴様の行き着く先は死ではない。滅と知れ!」
「うるせえ、このあばずれが! おまえのポニーテールは昔から萌えねえんだよ!」

 ザフィーラも蛮声を吐きながら戦闘態勢に移行する。もちろん手は洗っていない。

「この犬野郎ぉぉぉぉぉぉッ! 死なせてやるぅぅぅぅぅぅ!」
「なんのぉぉぉぉぉぉッ! 返り討ちにして子供を孕ませてやるぅぅぅぅぅぅ!」

 烈火の将と盾の守護獣が全力全開で激突した。

 ここからはBGMに堕天使BLUE(リュシフェル)を聴きながらお楽しみください。
 ……なんで?

 シグナムの斬撃が空間を両断し、ザフィーラの拳が大地を割り砕く。
 凄まじい轟音。凄まじい熱量。
 ゴミに埋もれていたが静穏だった川原が、たちまち災害現場の様相を呈していく。
 このままでは川原そのものが地図から消えてしまいかねない。
 ヴィータは苛立ちに歯噛みしながらも、あくまで冷静に対応しようと努力する。

「お、おい二人とも。ちょっと落ち着けよ……」
「この変質者どもがぁぁ! わたしたちが本気で戦ったら川が汚れるでしょうぉぉぉ!」

 ヴィータの言葉尻を遮って絶叫したのは、バリアジャケット姿のはやてだった。
 はやては完璧にキレていた。言葉遣いは滅茶苦茶で白目を剥いている。気持ち悪い。

「リイン、ユニゾンや! あの狂人どもを殲滅魔法で地獄に送還してやる!」
「はいです。ファイナルユニゾンモードを承認しますです」

 ファイナルユニゾンモード? なんだそれは? お得意の適当な必殺技だろうか?
 そう疑問に思いながらヴィータは首をかしげた。
 と、はやてとリインの不穏な動きに気づいたザフィーラが、かっと目を見開く。

「ユニゾンなどさせん。炸裂せよ、盾の守護獣の超必殺技――無窮なる魔剣の波濤!」

 なんだかよくわからない詠唱に呼応して出現したのは――ただの鋼の軛である。
 それが次の瞬間、リインフォースⅡの小さな体をメッタ刺しに。
 そのおぞましい光景にヴィータは絶句した。
 あまりにも急な出来事に思考すら停止してしまう。

「そ、そんな……わたしのリインが。……おのれ、絶対に許さへんよ、ザフィーラ!」

 はやての双眸に復讐の炎が燃えあがる。リインを抹殺されたのだから当然の反応だ。
 ついで途端に膨張する、はやての魔力。それはラグナロクを撃つための準備段階だ。
 それを見咎めたシグナムの表情に焦りの色が浮かぶ。

「主はやてが、ご乱心なされた。こうなったら主はやてを弑逆(しいぎゃく)するしか他にない!」
「ちょっと待った。シグナムよ、主に弓を引くことは、このザフィーラが許さんぞ」
「邪魔だケダモノ――紫電一閃を喰らえ!」
「あじゃぱぁ!」

 幹竹割りに落としたレヴァンティンの一閃で、ザフィーラの体が左右に分断される。
 ザフィーラを剣の錆にしたシグナムは、その勢いに乗ったまま夜天の主の首級(しゅきゅう)を狙う。

「主はやて、覚悟!」
「ふふふ。このわたしを忘れてもらっちゃ困るわね」

 剣を大上段に構えたシグナムの前に、不敵な笑みを浮かべたシャマルが立ちはだかる。
 シャマルは両手にダンボールの箱を抱えていた。
 そしてその中身は――大量のダイナマイトだ。
 さすがのシグナムも、これには戦慄したらしい。その動きがピタリと止まる。

「馬鹿な。そんな大量の爆発物、いったいどこで手に入れた?」
「川原に落ちてたのよ。こんな物騒なものを捨てる人がいるなんて世知辛いわよねえ」

 おいおいマジかよ。
 じりじりと後退しながら、ヴィータは心中で悪態をついた。
 事態は一触即発だ。いつ爆弾が炸裂してもおかしくない窮地である。
 ならばここは、たとえ卑怯者と罵られても逃げたほうが得策だろう。
 ヴィータは逃走を決意した。
 はや回れ右をして、一目散に駆けだそうとする。
 ――そのときだ。

「響け終焉の笛――」

 はやてがラグナロクを発射するカウントダウンをはじめていた。
 睨み合ったまま硬直していたシグナムとシャマルの顔色が同時に蒼白になる。

「あ、主はやて。どうかそれだけはやめてください。いや、マジで」
「シグナムの意見を全面的に支持するわ。いまだけは本当に魔法を使わないで」

 シグナムとシャマルが青ざめた顔で必死に懇願する。
 だが、はやては聞く耳を持たない。なぜならリインを失った弾みで悪鬼になったから。

「おまえたちがどうなろうと、わたしの知ったことか。――ラグナロォォォォォォク!」

 そして破滅の閃光は放たれた。
 その魔力の白熱は、やはり当然のごとくダイナマイトの爆薬に火をつける。
 次の瞬間、太陽が破裂したかのような轟音と衝撃と火炎が川原を呑みこんだ。
 かくして川原を中心に半径五〇〇メートルほどが焦土と化した。
 この管理外世界で起きた未曾有の事件を重く見た管理局は、質量兵器の危険性をあらためて認識。それ以後、いかなる理由があろうとも質量兵器の使用を禁止にした。
 内紛が続いていた一部の次元世界も、この政策のおかげで平和を取り戻したという。
 これもすべて八神家さまさまである。

 ありがとう八神家。
 君たちの優しさは忘れない。
 だからいつまでも天国で見守っていてほしい。
 そして穏やかな眠りを。

 第三話(?)『伝説になる八神家』
 終わり。

 

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イヒダリ彰人
性別:
男性
趣味:
立ち読み、小説を書くこと
自己紹介:

イヒダリ彰人(あきひと)。
北海道に棲息する素人もの書き。
逃げ足はメタルスライムよりも速い。
でも執筆速度はカメのように遅い。
筆力が上がる魔法があればいいと常々思ってる。
目標は『見える、聞こえる、触れられる』小説を描くこと。

《尊敬する作家》
吉田直さん、久美沙織さん、冲方丁さん、渡瀬草一郎さん

《なのは属性》
知らないうちに『アリすず』に染まっていました。
でも最近は『八神家の人たち』も気になっています。
なにげにザフィーラの書きやすさは異常。
『燃え』と『萌え』をこよなく愛してます。

《ブログについて》
魔法少女リリカルなのはの二次創作小説を中心に掲載するサイト。
イヒダリ彰人の妄想をただひたすらに書きつらねていきます。
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