イヒダリの魔導書

　今宵。聖杯戦争に勝つために、遠坂凛が召喚したサーヴァントは――

「俺は……墓掘りだ」
「ぬあぁぁぁんですってぇぇぇぇッ！」

　まったく戦力になりえない、野暮な墓掘りであった。


　圧倒的な気怠さを感じながら、遠坂凛はベットから上体を起こした。それから幸せが百万回くらい逃げ出しそうな溜息を深々と吐く。とにかく気分は最高に最悪だった。
　――夢を見たのだ。生涯を通じて一番だと断言できる、なんともおぞましい悪夢を。

「確か、聖杯戦争を戦うためのサーヴァントを召喚したのよね」

　起き抜けで自慢の脳細胞が働かないが、それでも少しずつ悪夢の内容を反芻していく。
　七つある位階(クラス)から選出される中で、もっとも最優と言われるサーヴァント『セイバー』。
　彼(か)の位階を引き当てるため、凛は魔力を封じこめた宝石をここぞとばかりに大盤振る舞い。決して安くない宝石たちを散財し、その犠牲に涙しながらも臨んだ召喚の儀。
　最強のサーヴァントを引き当てたと確信した。必勝は我が物と歓喜した。
　だというのに――
　肝心のサーヴァントが召喚陣から出てこない。
　夢の中の凛が訝ったのも束の間、上階のリビングから鳴り響く轟音、そして衝撃。
　慌ててリビングに駆けこんだ凛を待っていたのは、やたらと大きい銀のシャベルを担いだ赤髪の墓掘りだったという、そんな愚にもつかない狂気の夢だ。

「ホント、夢でよかった。……それにしても、なによ墓掘りって？　聖杯戦争で負けて死ぬってことを予見した、新手の皮肉かしら？　なんか綺礼あたりが言いそうな冗談だったわね」

　凛は、また深く深く溜息をついた。朝から縁起でもない夢だった。早く忘れよう。
　凛はパジャマ姿のまま、リビングへと向かった。暢気に「お腹減った」などと考えながら。
　そしてこれが、凛の平穏な日常の終わりだった。

「遅かったな……ん？　なにを呆けている？」
「うがぁぁぁぁぁ！　なんでここに墓掘りがいるのよ！」

　そう吼えた瞬間、凛は驚きと憤りのあまり現実逃避――つまり気絶――してしまう。
　昨夜の悪夢は現実だったのだ。
　こうして遠坂凛と、墓掘りのサーヴァント――ジーク・ヴァールハイトは邂逅した。


《あとがき》
名は体を表す。とある作品のクロスオーバーです。
ちなみに『リリカルなのは』のSSではないので続かないです……たぶん。
 

各所は、この話題でいっぱいですね。
まあ、でも当然だと思います。
それだけ盛り上がりましたしね。とくにイチロー。
まるで漫画の主人公のような活躍ぶり。
全世界が注目するなかで打席がまわってきて、
しかも華麗にヒット打っちゃったりするんだから凄すぎ。
あの活躍で間違いなく、イチローは世界の偉人のひとりに名を連ねましたね。
いやマジで。
日本代表のみなさん、たいへんお疲れさまでした。

――さて、ここからはイヒダリ個人の話。

ほんとうは今日、短編ＳＳを更新しようと思っていたのですが、
リリマジ行ったり長編の執筆に手間取ったりで一行も書けませんでした。
……情けな！
でも長編の方は、予定どおり今週の土曜日に更新します。
イヒダリの妄想劇ですが、どうか最後までおつきあいくださいな。


《追伸》
リリマジでお会いした標準偏差Ｒの空色藍さんが女性だったのに驚いた。
じつは男性だとばかり思っていたので、実際に会ったときはかなりテンパった。
なんで男だと思ってたんだろうな～？
世の中は不思議でいっぱいです！　……なんだそりゃ？

　リリマジ６に参加されたみなさまへ。
　おつかれさまでした。

　そして、かくいうイヒダリも、リリマジ６に行ってきましたよ！
　一般参加だったので、応援してるサークルさんのブースを気楽に、
　ゆっくりと見てまわることができました～。
　……なんて。
　そんな精神的余裕は、これっぽっちもなかった。
　こういう同人誌の即売会に参加するのは初めての経験だったので、
　いかんせん勝手がわからない。知らない人たちに囲まれて気圧されっぱなし。
　人の多さもあいまって、まるで人ごみの中で迷子になった子供のような心境でした。
　なら、ぜんぜん楽しめなかったのか？　得るものは何もなかったのか？
　答えはＮＯです。これは断言できます。
　まわりにいる人たちは知らない人ばかりだったけど、同じ趣味をもつ仲間だって知ってるから、独りぼっちの疎外感みたいなのは微塵もなかった。
　それに憧れの作家さんや絵師さんに、ご挨拶できたのがよかった。
　イヒダリの、混乱と躁めいた異様なテンションに目を白黒させながらも、それでも丁寧に応対してくれたみなさまには、感謝と謝意の気持ちでいっぱいです。
　――ありがとうございました。

　それと、同人誌を売りさばくサークルさんたちを見て思ったこと。
　今度は一般参加でなく、イヒダリもサークルで参加してみたいなあ～。


《拍手レス》
　＞のっちさん。
　あのときは、月荊紅蓮が売り切れたらどうしようとビビっていたため、
　あんな忙しい時間帯の訪問とあいなりました。
　あと、別に対応がおざなりだったとは思いませんでしたよ？
　ていうか、あのときの状況は、あまりよく覚えていない。
　……興奮しすぎて頭が錯乱してたから。
　でも次に会う機会があれば、もう少し落ち着いて話がしたいですね。
　というわけで、のっちさんから戴いた助言。肝に銘じておきます。

深見 真さんのライトノベル。武林クロスロードを読んでみた。
彼は銃器やガンアクションに定評のある作家さんなのですが、
なぜか僕はこの小説を手にとってしまいました……。
そして中身を見て驚愕しました。いや、驚愕なんてもんじゃない。
「なんだこれ……どこの官能小説だよ！」って、思わず叫びそうになりました。
性描写がすごい直截的で目を疑いました。いやほんとうにエロかったです。
「おいおい、ガガガ文庫さんよお」って、疑義を呈したくなるような内容です。
よくこんなエロ小説に、ゴーサインを出したな。

話は変わりますが、イヒダリ彰人はリリマジ６に参上します。
でも一般参加なので、当日は会場のそこいらをフラフラ歩いてると思います。
メガネをかけた全身黒ずくめ。左手に紙袋を提げた胡乱な男がたぶん僕です。
終始、挙動不審な予感がありますが、くれぐれも警察を呼んだりしないように。
そんなことをされたら、年甲斐もなく泣いてしまうので……。


《拍手レス》
＞３月１４日　２２時にコメントしてくださった方へ。
　ありがとうございます！　そう言ってもらえて感謝感激であります！
　このままエピローグまで突っ走っていくつもりなので、
　どうぞ最後までお付き合いください。

〈追記）
リンクにのうちらす工房さんを追加しました。
今後とも、よろしくお願いします。
 

今週の金曜日はリリマジ６です。
てなわけで、
イヒダリ彰人が個人的に応援してるサイトさんの同人誌のバナーを貼ります。
みんながんばって～

《応援バナー》



企画・原案・漫画　iroiroiroの『さき千鈴』さん
小説　のうちらす工房の『のうちらす』さん
上記の二人がお贈りする、アリすず同人誌の決定版。



PEACEKEEPERの『緑平和』さんの同人誌。
若きストライカーズたちが全身全霊を賭して戦う、渾身の大長編の上巻です。



pure heartの『kit 』さん主催の合同誌。
なのはとフェイト。二人への愛がいっぱいに詰まった漫画（らしい）です。

 

Rhythm Fiveの『浅木原忍』さんの同人誌。
悪意と憎悪と絶望の連鎖。ここに完結。